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real money trade

 オンライン・ゲームの一種に,複数のプレーヤが1つの仮想世界で冒険を繰り広げる「MMORPG(massively multi-player online role-playing game)」がある。MMORPGでは,プレーヤ間でゲーム内の通貨やアイテムを譲渡できる。この仕組みを使い,「円」「ドル」といった現実の貨幣によってゲーム内通貨やアイテムを売買する行為が盛んになっている。こうした取引のことを,仮想空間であるゲーム内で閉じた取引と区別する意味を込めて,RMT(real money trade)と呼ぶ。売買交渉は,ゲーム内のチャット機能やネット・オークションなどを通じて行われる。

 RMTにおいては,個別のアイテムやゲーム内通貨の取引価格が原則として,そのゲームの人気やアイテムの希少性で決まる。オンライン・ゲームという仮想空間内でしか通用しないデータが,現金と同等の扱いを受けるわけだ。特定のサービス内での利用を前提とした価値が現金と等価になる構図は,家電量販店が発行するポイント・カードや航空会社のマイレージのシステムと近い。だが,価値を保証するのが「ゲームの人気」であり,発行企業が必ずしも金銭的に担保しないにも関わらず,換金性を持つ点でユニークといえる。

 ただし現状では,ほとんどのMMORPGは利用規約でRMT行為を禁止している。RMTによる利益を追求する一部のユーザーによって,他のユーザーの邪魔をする行為やゲーム・プログラムのバグを突く不正が発生しやすいためだ。詐欺など取引上のトラブルも多い。にもかかわらず,RMT市場の拡大は止められそうにない。2004年度の国内RMT市場の取引額は年間150億円と,国内オンライン・ゲーム市場の60%に達している。


(日経エレクトロニクス2006年1月16日号より抜粋)