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 複数の無線システムの間で連携を図りながら,無線通信システムの高度化を狙おうとする新たな技術提案。コグニティブ無線の原点は,端末や基地局などの無線機に周辺の電波環境を認識・認知(cognitive)する機能を持たせることにある。認識・認知した電波環境に応じて,無線通信に利用する周波数や方式などを無線機が自ら選択して,周波数の利用効率を高めようとするもの。利用者は,より高速のデータ通信や安定した通信サービスを享受できるようになるとされる。また,無線通信に利用できる周波数が逼迫している中,コグニティブ無線はその打開策としても期待されている。

 コグニティブ無線の具体的な実現形態は明確になっていないが,研究者の間では核となるコンセプトが固まりつつある。『時間』『周波数』『空間』の資源を複数の無線通信システムが適応的に利用できるようにする。

 コグニティブ無線の想定し得る実現形態は多岐にわたる(図)。一例としては,ある時刻において全く使用しない周波数帯を別の無線システムが利用する。あるいは,その地域で使われていない放送用途の周波数を無線LAN端末が自ら探し出して利用する。さらに,遠く離れた山間部と海岸部で同一の周波数帯を別の通信システムで利用する,などである。

 コグニティブ無線を実現する際に技術面で柱になると考えられているのが,ソフトウエア無線やリコンフィギュラブル無線である。端末や基地局は,電波環境に応じて複数の無線通信方式を切り替える機能を備える必要があるからだ。無線機が自ら空いている周波数帯域を探し出し,その帯域を利用して無線通信を行うには,RFトランシーバ回路を所望の周波数帯域や通信方式に対応させておく必要がある。RFトランシーバ回路の周波数帯域や帯域幅の範囲がより柔軟であれば,それだけ多様な周波数や通信方式に対応できる。

図 「時間」「周波数」「空間」を適応的に活用
図 「時間」「周波数」「空間」を適応的に活用 (日経エレクトロニクス2006年1月30日号より抜粋)