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 小型の磁石を動く物体に配置し,磁界の強さやその変化をとらえて物体の接近や移動,あるいは回転を検知するセンサ。現在は主に携帯機器などへの適用を想定する。特に,折り畳み型携帯電話機で,端末を閉じた際に液晶パネル用バックライトの電源を自動的に遮断するための開閉検知に使うことが多い。最近では,ノート・パソコンのパネルや冷蔵庫のドアの開閉検知,エアコンのファンの制御,自動車のタイヤ圧検知,ペダルやトランスミッションの位置検知など,用途が広がっている。

 磁気センサでは,磁束密度の変化に応じて出力電圧が変わる仕組みを利用する。現在製品化されている磁気センサの実現技術は,大きく二つに分かれる。一つは,ホール効果という磁場と電流の相互作用によって起電力が発生する素子(ホール素子)を利用したもの。もう一つは,磁界の強さに応じて電気抵抗値が変化する各種の磁気抵抗(MR:magnetoresistive)素子を用いてホイートストン・ブリッジを構成したセンサである。

 二つのセンサ素子は,磁界の変化に対する出力電圧の特性が異なる。ホール素子を使う磁気センサは電流と磁界の相互作用によって電流にローレンツ力が加わり,それが起電力V となる(図(a))。一方,MRセンサは磁界の存在によって抵抗素子の抵抗値が変化してブリッジの出力電圧V が変わる(図(b))。ホール素子のセンサは,磁束密度B の極が反転すると出力電圧V の符号も逆になる。しかも,B の感度領域が広い。MRセンサの出力はB の極が反転しても変化せず,感度領域は狭い。

 このほかに,アモルファス・ワイヤを利用する「磁気インピーダンス(MI)方式」やコイルに磁束を通して誘導電流を検知する「フラックス・ゲート(flux gate)方式」が利用されているが,磁気センサでの量産例は少ない。

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