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Siの回路素子の上にごく小さな鏡を配列した投射型ディスプレイ向け素子。鏡の向きを動かして光源からの光を画面方向に反射させるかどうかを決める。

 1993年,米Texas Instruments(TI)社が,DMD(digital micromirror device)という製品を市場に出してきた(図1)。ビデオ・プロジェクタ用のMEMSチップである。TI社はこの技術を20年ほどかけて開発してきた。米国の企業で,これほど長期間にわたって開発を支え続けることは大変なことだったろうと思う。

図1 DMDによるビデオ・プロジェクタ(米Texas Instruments社)
図1 DMDによるビデオ・プロジェクタ(米Texas Instruments社)

 開発当初はアナログ的に鏡を動かしていたので,デフォーマブル・ミラー・デバイスと呼ばれていた。実はこの種の研究はもっと前からあり,オランダのPhillips社なども似たような発表をしていたことがある。こういう技術は実用化まで,そのぐらい長くかかるということである。今では,TI社を支える大変に成功した技術になった。

 DMDには,17μm角のAl合金の鏡が100万個ぐらい並んでいて,それが静電引力で引っ張られて高速かつ独立に動く(図2)。そこに光を反射させると,パソコンの画面やテレビの映像などがスクリーンに投影されるという仕組みだ。

図2 DMDチップの構造(米Texas Instruments社)
図2 DMDチップの構造(米Texas Instruments社)
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 このデバイスを組み込んだビデオ・プロジェクタは,DLP(digital light processing)という名前で売られている。シネマ・コンプレックスと呼ばれるデジタル・シネマの映画館などによく使われているし,米国では家庭用のリアプロに用いられ,たくさん販売されている。