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 露光に関しては,普通の半導体プロセスと違ってMEMS特有の手法が幾つかある。

 まず,密着露光の場合,普通は顕微鏡でマスクを通してウエーハ上のパターンを観察し,それにマスクの像を合わせる。しかし,MEMSの場合,基板の両面を使うことが多いので,表裏が同時に見える顕微鏡を使って,裏側の像を見ながら上のマスクの像を合わせる。あるいは,裏側の像をカメラで撮って画像メモリーに入れておき,その画像メモリーと表から見ている像をスーパー・インポーズして位置を合わせるという方法もある。厚いレジストの下にあるウエーハ上のパターンにマスクの像を合わせるような場合にも,顕微鏡では上下同時に焦点が合わないので,一度画像メモリーに像を記録しておいて,スーパー・インポーズでパターン合わせを行う。

 MEMSでは,比較的大面積のパターンが多い中に,部分的に微細なパターンが必要な場合もある。LSIプロセス用のステッパを使えば,微細なパターンを転写できるが,大面積の部分には使いにくい。そのようなとき,私たちは密着露光を使う。ただし,密着露光は完全に密着できないと解像度を上げられないので,マスクとレジストの間に水を浸して,解像度を上げる工夫をしている。水は屈折率がガラスやレジストに近いので,フレネル回折による解像度低下が起きにくい。

凹凸表面への露光

 MEMSでは,平坦でない所にどうやってパターンを形成するかが,重要である。図1はICのテストなどに使うマイクロプローバ用コンタクタ(プローブ・カード)である。Si基板に結晶異方性エッチングで100μm程度の深い構造を形成する。表面にB(ボロン)を拡散し,深い部分に結晶異方性エッチングでV溝を作り,金属を付ける。

図1 ICテスタ用コンタクタの製造プロセス
図1 ICテスタ用コンタクタの製造プロセス

 このSiの構造体の上に貫通配線を形成したガラスを陽極接合して,Bの入った層でエッチングが止まるような条件で下からSi基板をエッチングしていくと,プローブの形状になる。

 なぜこのような形状をしているかというと,Alパッドの付いたICをテストするプローバは,触ったときに横にずれてAlの表面の酸化膜を破る必要があるからだ。

 平坦でない所は,スピンナでレジストを塗ることができない。そのため,スプレーで塗る装置が必要である。さらに,焦点深度の深い投影露光装置で露光する。ステッパは解像度が高いが焦点深度が浅く,このような凹凸表面には使えない。このような場合には,解像度は低くても焦点深度の深いNA(開口数)の小さな投影露光装置を使う。例えば,ウシオ電機の長焦点深度投影露光装置は,解像度が9μmと低いが焦点深度は50μmもある。