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Siをエッチングするとき,不純物濃度の違いがエッチング速度に影響するので,これを利用して任意の形状を作ることができる。

 フッ硝酸を酢酸で薄めた等方性エッチング液で,不純物をドープしたSiをエッチングしていくと,不純物濃度の高い層だけが選択的にエッチングされ,不純物濃度の薄い層だけが残る(図1(a))。

図1 Siの不純物濃度依存性選択エッチング
図1 Siの不純物濃度依存性選択エッチング

 図1(b)では,5%HF(フッ酸)のエッチング液で電解エッチングすることにより,高濃度n型層もしくはp型層だけをエッチングして,下地のn型層を残している。

 通常のフッ硝酸によるエッチングのプロセスは,まず硝酸が水と反応して亜硝酸とホールができ,このホールによってSiが酸化され,それがフッ酸でエッチングされる。

 電解エッチングでは,電流を流して電気的にホールを供給し,Siを陽極酸化する。エッチング液はHFだけである。従って,電流が流れた所だけ酸化膜ができ,これがフッ酸に溶けてエッチングされる。

 そのとき,p型層はホールが多いし,n層もブレークダウンして電流が流れるのだが,下地のn型層はホールがないので電流は流れない。なお,この電気化学的エッチングでは,流れた電流は溶けたSiの量に対応するので,その場観察(in-situ monitering)ができるという利点がある。EDPをエッチング液に使うと,高濃度のp型(p)層でエッチングが遅くなる(図2)。この現象を利用して,選択エッチングが可能である(図1(c))。

図2 高濃度Bドープ(p+)層によるエッチング停止
図2 高濃度Bドープ(p+)層によるエッチング停止

 図3はその応用例である。ガラスに穴を開けて,その穴の位置に対応する部分にだけBを拡散したSiの板を陽極接合で張り付ける。Siをエッチングすると,ガラスの穴の部分に高濃度のp層のフタが残る。あとは,上下から金属の電極を付けて,Siのダイヤフラムをかぶせると,静電容量を検出できる圧力センサーになる。

図3 p+層エッチング停止法でガラス穴のフタを形成した容量型圧力センサー
図3 p+層エッチング停止法でガラス穴のフタを形成した容量型圧力センサー

 このp層を使ったエッチング停止法は容量型のセンサーには使えるのだが,高濃度の層なので回路やピエゾ抵抗素子などを作り込むことができないという問題がある。従って,圧力センサーを作るときは,低濃度のn型の層を残す方法を使う(図1(d))。この技術が今,最もよく使われている。

 これは電気化学エッチング停止法といい,n型の方にプラスの電圧をかけて表面を陽極酸化し,その酸化膜でエッチングを停止させる。p型の方は,n型からp型へは逆方向バイアスなので電流は流れない。また,n型はp型より拡散電位分だけ電圧がプラスなので,p型は陽極酸化されずにn型だけ酸化される低い電圧をかける。図4は,この方法で作った薄いSiダイヤフラムで,うまくコントロールされている様子が分かる。

図4 pnエッチング停止による薄いSiダイヤフラムの製作
図4 pnエッチング停止による薄いSiダイヤフラムの製作