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 LEDバックライトは,液晶パネルの光源にLEDを用いたもの。光源が冷陰極蛍光管(CCFL)である場合に比べて,薄型化や表示性能の向上,低消費電力化を図れる。携帯電話機ではほぼすべてがLEDバックライトを使い,ノート・パソコンや液晶モニター,液晶テレビでの採用も進んでいる。LEDはCCFLのように水銀(Hg)を含まないため,環境対応をアピールすることも可能だ。

  現在,液晶テレビではLEDバックライト搭載機が本格的な普及期に入り,テレビ・メーカーが新機種投入を急いでいる。中でも,LEDバックライトを搭載する液晶テレビの拡販に力を入れるのが,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.である。同社は,LEDバックライト搭載の液晶テレビを「LED TV」と命名する。従来とは異なる製品と位置付けて,販売拡大をもくろむ。同社のマーケティング戦略の巧妙さを知る一例と言えそうだ。

 LEDバックライトは,その配置部分で「エッジライト型」と「直下型」に分類される。それぞれが実現できる性能は一長一短だ。

 エッジライト型は,液晶パネルの側面に白色LEDを配置し,反射板や導光板を用いてパネル全体を照射する。薄型化に適しており,厚さが10mm前後である液晶テレビはエッジライト型を採用する。例えばソニーは,2008年8月に40型で最薄9.9mmの「BRAVIAZX1」シリーズを,2009年9月に52型で最薄16.6mmの「ZX5」シリーズを発表した。消費電力は52型品が254Wであり,CCFLを用いた「W5」シリーズの52型品の305Wよりも低い。開発例ではさらに薄型化が進んでおり,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が厚さ3.9mmの40型液晶ディスプレイを2009年10月に,韓国LGDisplay Co.,Ltd.は2.6mmの42型液晶ディスプレイを2009年12月にそれぞれ発表した。

 直下型は白色または赤色(R),緑色(G),青色(B)の3色のLEDを液晶パネルの背後に多数配置する。液晶パネルに表示する映像に合わせ,LEDの輝度を領域ごとに制御すると,コントラスト比を高められる。RGB3色のLEDを使用すれば,色再現範囲の拡大が可能だ。例えば,RGB3色のLEDバックライトを採用するシャープの「AQUOS XS」シリーズは,コントラスト比が100万対1,色再現範囲がNTSC規格比で150 %と高い。搭載するバックライトは,RGGBの4個のLEDを一つのユニットとし,1000以上の領域に分けて輝度を制御する。

LEDバックライトの液晶テレビ, 原点はソニーのQUALIA

 液晶テレビで業界で初めてLEDバックライトを採用したのは,ソニーである。同社は2004年に発売した液晶テレビ「QUALIA 005」に,RGBの3種類のLEDを光源に使う直下型バックライトを搭載した。当時はLEDの発光効率がCCFLよりも低く,LEDバックライトの利点として色再現性の高さをうたっていた。光の3原色に近い波長から白色光を得ていることから,液晶テレビの色再現範囲はNTSC規格比で105%と,CCFLを光源に用いたバックライトを使う従来品に比べて約1.5倍も広くできた。

  QUALIA 005では実現に当たり,LEDバックライトならではのさまざまな問題の解決を図った。例えば,輝度や色を面内で均一にできるLEDの配置,LEDの電気特性が温度や経時劣化によって変わっても輝度と色を均一に保つ制御,発光時に発熱するLEDを効率よく放熱する対策,などである。

バックライトの選択は分かれる
大型液晶テレビ向けパネルで一般的に採用されているCCFLを用いた直下型バックライトを,そのまま薄くするだけでなく,光源の種類と配置方式を変えて薄型化する手法もある。光源はCCFLと白色LED,方式は直下型とエッジライト型のそれぞれ2種類を組み合わせることで,四つの組み合わせが考えられる。それぞれの組み合わせに,利点と欠点が存在する。
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