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 音声通話機能やデータ通信機能を持ちながら,パソコンに近い使い勝手を実現した携帯端末の総称。厳密な定義はないが,①アプリを導入して機能を追加できる,②Webアプリをパソコンと同様に実行できる,といった特徴を持つ端末を指すことが多い。

 世界の携帯電話機市場は,空前のスマートフォン・ブームに沸いている。それを牽引するのは,2007年6月に発売され,2010年6月には第4世代品が登場した米Apple Inc.の「iPhone」である。

 Apple社はiPhoneで,携帯電話機市場にさまざまな新しい常識を持ち込んだ。Apple社のブランドで販売し,コンテンツやアプリケーション・ソフトウエア(以下,アプリ)のオンライン販売も同時に手掛ける。そして,各国の携帯電話事業者向けのカスタマイズは最小限のソフトウエア変更で済ませ,ハードウエアとしては同じ製品を世界に出荷する。Apple社が長年培ってきた,パソコンに近いビジネス手法である。

 端末メーカーや携帯電話事業者の期待にたがわず,スマートフォンの出荷台数は大幅に伸びる見込みだ。米Gartner Inc.は,2013年には世界の携帯電話機販売台数の約38%をスマートフォンが占め,年間5億台を超えると予測している。

 スマートフォンの需要は,米国や欧州,日本など先進国だけにとどまらない。今後はインドや中国といった,いわゆる新興国にもスマートフォンが広がる。

 例えばNTTドコモが出資して「Tata DOCOMO」ブランドで携帯電話サービスを展開するインドTata Teleservices Ltd.は,Androidを採用したスマートフォン「Samsung Galaxy」(韓国Samsung Electronics Co., Ltd.製)を発売した。また,中国China Mobile Communications Corp.(中国移動)は,Androidをカスタマイズした「OPhone OS」を搭載する端末7機種を2009年に発売した。OPhone端末を供給する一社である米Dell Inc.は,同じ機種をブラジルや北米の携帯電話事業者にも供給する。

 各国の携帯電話事業者がスマートフォンに興味を示すのは,第3世代移動通信システム(3G)への移行を促す格好の道具だからだ。インターネットの各種サービスを利用するスマートフォンは,携帯電話事業者が多額の投資で構築した3G回線におけるデータ伝送速度向上の利点を実感しやすい。そこで,事業者としての競争力強化やデータ通信料収入の増加を狙って,端末ラインアップにスマートフォンをそろえ始めたのである。新興国では3G契約者の拡大とスマートフォンの投入が重なることで一気に普及する見通しだ。

図2 スマートフォンの割合が拡大
世界の携帯電話機販売台数でスマートフォンが占める割合は,2009年は約14%だったが,2013年には約38%に達すると見込まれている。2010年以降の値は予測値(a)。2009年第1~3四半期の世界販売台数シェアでは,携帯電話機全体でもスマートフォンでもNokia社が1位である(b,c)。(出典: Gartner社。2009年12月)
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