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 画像や映像を壁やスクリーンに投射する装置。表示素子には,LCOS(liquid crystal on silicon)を含めた液晶パネルや,DMD(digital mirror device)やMEMSミラーが用いられる。光源には,高圧水銀(UHP)ランプやLED,レーザなどを使う。

 プロジェクター市場の牽引役となるとみられているのが,従来と同様に据置型ながら焦点距離が非常に短い「短焦点プロジェクター」と,携帯電話機に搭載できるほど小さいプロジェクター,いわゆる「ピコ・プロジェクター」である。いずれも今後,出荷台数が大幅に伸びる可能性がある。

 短焦点プロジェクターを使えば,所望する大きさの映像を得るために必要な距離が短くて済む。スクリーンのそばに設置できるため,通常のプロジェクターよりも配置の自由度が高い。ピコ・プロジェクターであれば小さくて軽いので,持ち運べて設置が容易,あるいは身に着けたりして利用可能だ。現在,プロジェクターはこの2種類を中心に,さまざまな新技術が投入されている。

 こうした流れが続くことで,今までにない新しい映像表示の世界が生まれる可能性がある。これまで「机の上」にあったプロジェクターが,ユーザーの「手元側」や,映像を投射するスクリーンや壁といった「映す側」で使われ始めるのである。例えば,テレビのない場所で据え置き型ゲーム機を楽しんだり,床一面に地図を表示させたりできる。つまり,「どこでも」利用可能で,「何にでも」映像を表示できる。これにより,常識を覆す全く新しい『映像表示機器』が生まれる可能性があるのだ。

 このような,常識を覆す映像表示機器に進化しそうな短焦点プロジェクターとピコ・プロジェクターのうち,既に堅調な伸びを見せているのが短焦点プロジェクターである。調査会社のテクノ・システム・リサーチ(TSR)によれば,2008年から2009年にかけて出荷台数が約2倍に急増したという。2014年には,2009年の出荷台数の2倍以上の約77万台に到達し,据置型プロジェクター全体の約10%を占めるまで成長する。

 短焦点の引き合いが特に強いのが,教育現場で利用する「電子黒板」としての用途である。電子黒板とは,ホワイトボードや黒板などの代わりに,専用のペン型端末などを使って映像上に文字や図形を描いて説明に用いるもの。教育用途に限れば,短焦点プロジェクターの出荷台数は,2012年度まで年率約50%で伸びると,同プロジェクターを手掛ける三洋電機は予測している。こうした点から,短焦点プロジェクターを手掛けるメーカー数も増えている。

 この短焦点プロジェクターよりも一歩後れを取るものの,急速に大きな市場に成長する可能性があるのが,ピコ・プロジェクターである。2008年後半から外付け型の製品が次々と登場した。2009年にはピコ・プロジェクターを内蔵した携帯電話機や小型のデジタル・カメラが発売されたことで,ピコ・プロジェクター市場に対する期待感は一気に膨れ上がった。携帯機器への搭載が進めば,爆発的に出荷台数が増えるからだ。

 米国の調査会社Pacific Media Associates社は,2014年には内蔵型だけで約1700万台,外付け型と合わせて約2300万台の市場になると見込む。この巨大な潜在市場に向け,ピコ・プロジェクター用のモジュールをはじめ,光源や表示素子の提案が相次いでいる。

図1 順調に伸びる短焦点プロジェクター
短焦点プロジェクターの出荷台数は,今後も増加傾向にありそうだ。TSRの調べによれば,2009年の約34万台から2014年には約77万台と2倍近くになり,据置型プロジェクター全体の10%ほどを占めるようになると,同社はみる。
図2 ピコ・プロジェクターの出荷台数は2000万台以上に
今後,ピコ・プロジェクターの市場は大きく拡大しそうだ。Pacific Media Associates社の予測によると,2014年には,外付け型や内蔵型を合わせ,約 2300万台が出荷されるという。(図: 同社が主催する「Projection Summit 2010」にて発表された数値を基に本誌が作成)