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 液晶パネルは複数種類のフィルムやシートなどの光学部品を組み合わせることによって, 高性能のディスプレイとしての機能・性能を実現している。 代表的な光学部品としてカラー・フィルタ,バックライト,偏光板,位相差板,視野角拡大フィルム,輝度向上フィルム,反射シートなどがある。

 偏光板は,光学フィルタの一種である。光は振動波であり,偏光板はある一定の振動方向の光(偏光)だけを通過させる。このフィルタを2枚,偏光軸を90度違えて配置することなどによって,光を通過させたり遮断させたりする。

 位相差板は,光が液晶層を通るときに生じる複屈折光をフィルムの位相差で補正し,液晶パネルの視野角の拡大などを実現するフィルムである。反射型や半透過型,さらにはVAモードやIPSモードなどの広視野角技術が普及するにつれて,位相差板の役割は重要性を増している。

 視野角拡大フィルムは,位相差板の一種である。 視野角とは画面を見る角度のことで,画面を真正面から見たときと斜めから見たときで像の見え方が異なることを視野角依存性という。 この角度を大きくするフィルムが視野角拡大フィルムである。このフィルムを使わない場合は,一定のコントラストが得られる角度は上下60度, 左右90度程度までだったが,フィルムを導入することによって上下125度,左右130度以上でも画像が違和感なく見えるようになった。

 輝度向上フィルムは,画面の明るさを増すためのフィルムである。 フィルム状のプリズム・レンズを使って斜め方向への光を正面方向に集光することによって, 正面輝度を向上する役割を持つ。

 反射シートは,光源から出てきた光を効率よく使うために,パネル方向に光を反射させるシートである。

 こうした各種の光学部品の大きな課題はコスト削減である。現在,パネル・メーカーと材料メーカーが協力してこの課題に取り組んでいる。低コスト化は三つの方向で進んでいる。(1)各種フィルム自体の低コスト化はもちろん,(2)フィルムを張り合わせる工程をいかに削減するか,(3)フィルム表面処理をいかに低コストの手法にするか,などである。

ナノインプリント法で製造したモスアイ型低反射フィルム

 (2)の張り合わせ工程の削減では,さまざまな取り組みがなされてきた。例えば反射型パネルの位相差板は, 異なる二つの波長(1/2波長と1/4波長)に対応したフィルムを2枚重ねており,さらにそのフィルムを偏光板に張り付ける必要があった。 フィルムは高価だが,それ以上に張り合わせにかかる経費が大きい。この張り合わせ工程を減らすために,異なる波長の組み合わせによる機能を1枚のフィルム(逆波長分散の1/4波長)で実現できるような技術が開発された。また視野角拡大フィルムの代表的な製品として「WVフィルム」があるが,偏光板の裏面の保護フィルムと一体化することで低コスト化が進んでいる。

従来の低反射フィルム(左)と反射防止性能を比較

 (3)のフィルム表面処理では,低反射処理の低コスト化を目指した開発が進んでいる。例えばシャープは,低コスト生産に向くナノインプリント法によって,モスアイ型の低反射フィルムを製造した。モスアイ型の低反射フィルムは,フィルムの表面に100nmレベルの規則的な凹凸構造を持たせたフィルムである。厚み方向の屈折率が連続的に変化するため,フィルムに当たる光を反射させることがほとんどない。従って,屋外に設置するデジタル・サイネージ用の反射防止フィルムとして期待されている。