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 テレビ放送は,実用化されてからこれまで,アナログ技術に基づく方式を使ってきた。ところが1990年ころから米国,欧州,日本を中心にデジタル技術を基本にした方式へと移行する動きが始まった。デジタル化に伴い,高精細の映像を使ったHDTV(high definition television)放送が可能になる。

 放送システムをデジタル化する利点は,大きく三つある。第1は,送信時に映像や音声が原理上は劣化しないこと。一定の品質の映像や音声を視聴者に送信することができる。アナログ放送では,送信時に混入した雑音が映像や音声に影響を与えてしまっていた。

 第2は,画像の圧縮符号化技術を取り入れることで,従来と同じ帯域幅を使いながらテレビ受像機に送信できる情報量を飛躍的に増やせること。限られたテレビ放送用の帯域を有効に使える。アナログ放送の1チャンネルと同じ帯域幅(6MHz)を使って,複数の番組を送信できる。逆に,一つの番組で1チャンネルを使えば,従来のテレビ放送よりも高精細のHDTV放送が可能になる。

 第3は,従来の音声と映像に加え,様々なデータも同時に送信できること。いわゆる,マルチメディアを使った新しい形式の番組を実現できる。

 日本では,1996年のCS(通信衛星)デジタル放送(帯域幅27MHz)を手始めに,2000年にBS(放送衛星)デジタル放送,2002年に110度CS放送(帯域幅34.5MHz),2003 年には地上デジタル放送と,着々と放送のデジタル化が進んだ。従来のアナログ方式の地上波放送やBS放送は,いずれも2011年に終了する予定である。

 デジタル放送では,解像度やアスペクト比(画面の横と縦の比)が異なる複数の映像フォーマットを使って放送ができる。例えば,日本のBSデジタル放送,CSデジタル放送,地上デジタル放送では,「480i」,「480p」,「720p」,「1080i」,「1080p」という映像フォーマットが規格にうたわれている。これらの数字は,画面を構成する全走査線数のうち,映像を表示する部分の走査線数(有効走査線数)を指す。末尾の「i」と「p」は,それぞれ画面の走査方式を表す。「i」は飛び越し走査(インタレース走査)。「p」は順次走査(プログレッシブ走査)を示す。

日本における放送のデジタル化の流れ
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