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 系統(電力系統)とは、発電設備、送電設備、変電設備、配電設備、需要家設備といった電力の生産から消費までを行う設備全体を指す。言葉のイメージから、送配電ネットワークのみを指すものと思われるかもしれないが、誤解である。

電力系統とは
電力系統とは

 日本には10の電力系統があり、各電力会社がそれぞれを運用している。電力系統の運用とは、端的に言えば周波数と電圧を一定の範囲内に維持させるように、発電所や送配電設備をコントロールすることである。東日本の50Hz地域では、周波数を50±2Hzに収めるように運用している。需要と供給のバランス(同時同量)が崩れると、系統内の周波数に影響が出る。例えば、大規模な負荷が急に系統から外れると、周波数が上がってしまう。重い荷物を載せた自転車を漕いでいる時、急に荷物が落ちたらペダルが軽くなるのと同じである。これを防ぐために、電力会社はいくつかの発電機を系統から外すような操作を行う(多くの場合、自動である)。

 なお、送電線や周波数変換設備で系統を接続することを「広域連系」といい、連系した複数の系統を一体的に運用することを「広域系統運用」という。

 電力系統に関する最近の課題としては、再生可能エネルギーの大量導入に向けての系統対策があるので、いくつか紹介しておこう。

<系統強化>
 風力発電に適している地点は沿岸部が多く、近くに送電線が整備されていない場合が多い。風力発電の導入を促進するため、政府は北海道・東北沿岸部の送電線を増強する系統強化を計画している。

<系統安定化>
 太陽光や風力といった、出力が不安定な電源の導入拡大を進めると、系統安定化対策が必要と言われている。そのために、火力発電の確保や送電網の広域運用、大型蓄電池の導入などの整備が進められている。

 再生可能エネルギーの出力は安定しない。こうした発電設備を系統にそのまま接続すると、系統全体の周波数や電圧を安定させることが難しくなる。そこで、調整能力の高い火力発電所が、再生可能エネルギーの出力変動に合わせて自らの出力を調整する。また、系統に接続された蓄電池は、再生可能エネルギーの出力変動を吸収することができる。系統の容量(需要負荷の総量)が大きいほど需給バランス変動に対する周波数の変動幅が小さいため、送電網の広域運営によって系統の容量を大きくすることも、再生可能エネルギー導入時の系統安定化対策になる。

 ちなみに「グリッド」という用語は、狭義では送電網・配電網といった「網」のみを指す。しかし、スマートグリッドは送配電網と発変電設備、需要家設備が情報通信を使ってつながって構成される。つまり、電力系統とほぼ同じ概念である。