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用語解説

 液体にもかかわらず磁性を持つ材料である。フェライトに代表される強磁性材料の微粒子を水や有機溶媒に溶かしこんだもので,磁性粉の粒径は20nm以下と小さく,粒子1個1個が単磁区となっている。磁性粉を界面活性剤で包み込んでいるので,磁性粉の沈殿や凝縮が起きない安定なコロイド溶液になる。磁界が0の時には磁性を示さない単なる液体だが,磁石などの磁界を作用させると磁化し,磁界を取り除くと磁化が消滅する。

シール,スピーカー,ダンバーに応用

 用途としてもっとも普及しているのは,磁性流体シールである。磁石によって回転軸(シャフト)と磁極片の間に構成される磁力線に沿って磁性流体が保持され,磁性流体のシール膜が作られるのが原理である。HDD(ハードディスクドライブ)内の導電性防塵シールや半導体製造装置用真空シールなどに広く使われている。

 このほか,ボイスコイルのダンピングと流体による放熱効果を利用したスピーカーや磁性流体が磁場中で粘度が増加する現象を利用したダンバーとしての応用がある。特に最近では,磁性流体を封入したダンパを利用したショックアブソーバなど自動車用途が注目されている。

供給・開発状況

2006/10/06

Audi「TTクーペ」,磁性流体用いる
ショックアブソーバを採用


【図】磁性流体を用いたショックアブソーバ「MagneRide」。電磁コイルに電圧がかかると磁性体が液体の流れを遮るように並ぶ(クリックで拡大表示)

  ドイツAudi社は,二代目「TTクーペ」に磁性流体を用いるショックアブソーバ「アウディ マグネティックライド」をオプション設定した。同クラスでの設定は初めてという。このシステムは米Delphi社製で,Delphi社は「MagneRide」と呼んでいる。

 同システムは、個々のホイールに設置したセンサ情報を基に、アブソーバ内の磁性流体を制御することで減衰力を変化させる(図)。アブソーバ内は,電磁コイルと磁性流体で構成する。電磁コイルに電圧をかけると磁場が生じ、この結果、ばらばらに存在していた磁性体が横一列に整列する。横一列に整列した磁性体が上下の液体の流れを遮ることで、減衰力を変化させる。個々の磁性体の大きさは3~10μm。

米Delphi,「MagneRide」を
エンジンマウントやドアなどに応用へ

 米Delphi社はフランス・モルトフォンテーヌで開催した同社主催のイベント「Ride & Drive」で,セミアクティブサス「MagneRide」技術の将来展開として,2輪車への応用やエンジンマウント,トラックの客室部分のマウントなどの応用例を公開した。

 2輪車では乗り心地を改善する以外に,加減速時の車体の沈み込みの調整,エアサスと組み合わせて車高調整も検討しているという。また,エンジンマウントでの利用例では,エンジンのさまざまな周波数の振動を抑えられるほか,片バンク休止システムとの組み合わせなどにも効果を発揮する。さらにはピックアップトラックの客室部のマウントのほかにドア,バックドアのダンパに応用することも検討しているという。

ニュース・関連リンク

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