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 燃費の改善については主に、デンソーと共同開発した高応答のマルチ・ホール・ピエゾ・インジェクタ―を採用して急速多段燃焼としたことが寄与した(図4)。それにより、燃焼期間を短縮するとともに、圧縮比を従来の14.0から14.4に高めて、燃焼効率を向上させた。CX-5までの同エンジンでは、燃料を噴いた後に燃料と空気が混ざるまでの時間を確保するために、圧縮比を下げていた。圧縮比が低いと、圧縮による筒内の温度上昇が緩やかになり、筒内に燃料を噴いてから着火するまでの時間を延ばせ、燃料と空気がより均一に混じり合うようになる。燃料と空気がよく混じり合わないと窒素酸化物やすすが発生しやすくなる。

図4 高応答のマルチ・ホール・ピエゾ・インジェクタ―
図4 高応答のマルチ・ホール・ピエゾ・インジェクタ―
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 改良した同エンジンでは、応答性の高いインジェクターを使って上死点付近で多段(最大6回)の噴射を短い間隔で実施する。それにより、1つの山のような連続燃焼を発生させて燃焼期間を短縮させている(図5)。従来は、パイロット/プレ燃焼、メイン燃焼、アフター燃焼が別々の山となるような燃焼で、燃焼期間を詰め切れずにいた。加えて、改良した同エンジンでは、通常の走行時には燃料を高圧で微粒化させることで燃料と空気の予混合を促進する。さらに、詳細は不明だが、同社の説明員によれば、燃焼のつくり方とインジェクターの進化で燃料と空気を良く混ぜられる技術ができたとしている。従来と比べて燃料と空気が混ざるまでの時間を短縮させても環境性能を犠牲にせずに済むようになったことから、圧縮比を上げられた。

図5 急速多段燃焼の熱発生率の波形
図5 急速多段燃焼の熱発生率の波形
従来は燃焼が複数の山に分かれていたが、短い間隔で多段噴射させることで燃焼が1つの山として連続して発生するようになった。
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 同インジェクターの最大噴射圧はCX-5で使っていたものと同じ。噴射口も10個で変わっていない。進化しているのは、噴射ノズルを開け閉めする針弁の応答性が高くなったこと、および通常の走行時の噴射圧を従来比で2~3割高く設定できるようになったことである。高応答化によって噴射ノズルをより急峻に開閉でき、ノズルを閉めた時に燃料が垂れることがなくなったという。それにより、燃料を噴射してから次に噴射するまでの間隔を最短でゼロまで詰めることが可能になり、従来と比べて細かく刻んでより適切なタイミングで燃料を噴け、より理想的な燃焼に近づけることが可能になった模様だ。