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 中国政府は、上海市や天津市など全国11カ所にある「自由貿易試験区」内への投資制限をさらに緩和した。中国国務院が2017年6月16日に公表した「自由貿易試験区外商投資準入特別管理措施(負面清単)(2017年版)」(マイナスリスト=投資禁止リスト)で明らかになった。2017年7月10日からすべての自由貿易試験区で施行する。現在施行中の2015年版と比べて27の禁止項目を撤廃した。マイナスリストは計97項目となり、100項目を切った。ちなみに、2013年に最初のマイナスリストでは190項目あった。

中国国務院が公表した2017年版「マイナスリスト」
中国国務院が公表した2017年版「マイナスリスト」
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 2017年版マイナスリストで撤廃した項目は、鉱業、製造業、交通運輸業、ITサービス業、金融業、賃貸とビジネスサービス業、教育産業、文化・スポーツ・娯楽産業の8分野に及んでいる。そのうち製造業関連では今回、下記の項目を撤廃した。

  • (1)重量が3トン以上の民用ヘリコプターの設計と製造は、中国側持分支配(中国側投資者の出資比率の合計が51%以上であること)の企業に限る
  • (2)重量が6トン以下かつ9座席以下の民用飛行機の設計、製造および修理は中国企業との合弁・合資に限定する
  • (3)船舶用低速度あるいは中速度のディゼルエンジンとクランクシャフトの製造は、中国側持分支配の企業に限る
  • (4)海洋機械設備(モジュールを含む)の製造、修理は、中国側持分支配の企業に限る
  • (5)新設した電気自動車(EV)企業の製品は、中国ブランドにしなければならない。さらにEVに関連する知的財産権や特許を持たなければならない
  • (6)鉄道運輸設備の製造は中国企業との合弁・合資に限定する(ただし、高速鉄道、旅客輸送、都市間の鉄道に配備する乗客サービス施設や設備の研究開発、設計と製造、または、高速鉄道、旅客輸送、都市間鉄道に利用するレールや橋梁に関連する設備の研究開発、設計と製造、または、電気化鉄道設備と機材の製造や旅客車両の排泄設備の製造は除外する)
  • (7)都市間の鉄道の設備は国産化率が70%以上に達しなければならない
  • (8)民用衛星の設計と製造、民用衛星の発射設備の製造は、中国側持分支配の企業に限る
  • (9)モリブデン、スズ(スズの化合物が除外)、アンチモン(アンチモン酸化物と硫化アンモニウムを含む)などの貴金属の精錬は制限対象とする
  • (10)「野生薬材資源保護条例」と「中国絶滅危惧保護植物名録」に掲載している漢方薬材の加工に投資禁止とする

 中国の「自由貿易試験区」は、貿易や投資などの規制緩和を進める実験場という位置付けである。2013年に上海市に初めて設置された試験区では、2017年4月現在計8734社の企業が区内に設立され、区内への投資は計6880億元(約11兆80億円)に上る。

 中国政府は2015年には新たに天津市、広東省、福建省に3つの試験区を追加。計1万2712社の企業がこれら3つの区内に設立され、計1兆1357億元(18兆1712億円)が投資された。2016年8月には遼寧省、浙江省、河南省、湖北省、重慶市、四川省、陝西省の7カ所にも自由貿易試験区を設置。現在、中国全土で計11カ所の試験区がある。

■参考資料 中国国務院が公表した2017年版「マイナスリスト」(中国語)