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野口 宏太=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
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野口 宏太=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
三井 喬士=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
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三井 喬士=経営共創基盤(IGPI)マネジャー
 顧客の曖昧な要求を具体化する「要件ばらし」という開発の「武器」について、前回のコラムで解説した。今回は、開発における要件化の次のステップである「具現化」と「検証」で有効活用できる品質機能展開(QFD:Quality Function Deployment)について解説しよう。QFDの作成方法については各所で詳細に解説されているので、本コラムではQFDの有効性と活用のポイントについて解説する。

開発におけるQFD活用

 開発現場において、以下のような経験はないだろうか。

・顧客要求と、製品機能や構成部品との紐付けをしていなかった。そのため、顧客要求を製品仕様に正しく反映できず、開発の後期で大きな手戻りが発生した。
・過去の設計が原因で起こった不具合の再発防止策を、次期モデルの製品に織り込んでいなかった。そのため、類似の不具合が発生した。

 前回コラムで解説した「要件ばらし」で顧客の曖昧な要求を具体化しても、その要求を製品機能や構成部品に正しく反映できなければ、結局は不具合を発生させることになる。すると、自動車メーカーの信頼を失ってしまうのである。

 ではどうするか? ここでQFDの登場だ。QFDとは、顧客要求を満足させるための製品化要件を設定し、製品機能や構成部品といった製品化に必要な情報や関係性を二元表(マトリクス)によって可視化していく手法だ(図1)。

図1●製品開発情報とQFDの関係
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図1●製品開発情報とQFDの関係

 QFDでは、製品化要件と機能(図2-②)、機能と構成部品(図2-③)がそれぞれマトリクス化されて紐付けられている。従って、顧客要求がどの製品化要件に反映されたのか、また、その要件がどの機能に反映されたのかを「見える化」できる。加えて、どこにも紐付いていない顧客要求を発見できるため、要求の取りこぼしを防ぐことができるのだ。

 また、1度作成したQFDは、類似製品の開発への継承や再利用が可能だ。QFDには、顧客要求から構成部品までの一連の情報が紐付けられている。そのため、他の製品開発に引き継ぐことで、従来と同じ設計思考で開発を進めることができる。過去の不具合を振り返って技術的要因を解析し、アップデートしたQFDの情報を基に、次期モデルの製品開発につなげる。こうすると、同じ失敗を繰り返すことなく再現性のあるものづくりを実現できる。

図2●QFDによるマトリクス連携イメージ
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図2●QFDによるマトリクス連携イメージ