ビジネスに必ず勝つ方法

 これまで述べてきたように、技術のコモディティ化が起きると、知財戦略のセオリーが適用できなくなり、特許以外の要因によって、市場でのシェアが決まることが多くなる。従って、技術開発や事業化を行う際には、技術のコモディティ化を指標として、知財戦略がどの程度有効に働くのかを見据えた上で、技術開発投資や知財投資を行わないと経営効率が低下してしまう。

 既に技術のコモディティ化が生じている製品分野では、いかに技術開発投資をしても、市場が求めていない過剰なスペックを実装した製品を生み出すだけとなる。この場合、いくら特許を取得しても製品シェアは上がらず、投資に見合った経営上の効果は得られないと考えるべきだ。

 一方、技術のコモディティ化が起きていない製品分野では、技術開発と知財戦略によってシェアを獲得することができる。伝統的な知財経営モデルに則って、相応の知財投資を行うべきだと考える。逆に、このような製品分野においては、知財投資を行わないと、シェアを確保することができず、結果として、投資に見合った経営上の効果を得ることができなくなる。

 本連載で述べた内容は図1-10 のようにまとめることができる。今、読者が関わっている事業について、この図に当てはめた上で事業方針を立案すれば、必ずや打開策は開け、ビジネスに勝つことができるはずである。

【図1-10】知財ステージから見た知財戦略の考え方
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【図1-10】知財ステージから見た知財戦略の考え方

─本連載の目次─
─第1回─「技術と知財で勝る日本が世界でなぜ勝てないのか」
─第2回─「太陽光パネルにおけるシャープのシェア低下などの具体例」
─第3回─「工業製品のコモディティ化は必須特許の出願余地で決まる」
─第4回─「知財戦略の策定は対象知財のステージ確認から」
─第5回(最終回)─「日本企業は特許以外の方法で市場支配に注力し始めた」