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 第5回では、モビリティー革命が乗用車メーカーに与える影響を分析した。今回は、商用車業界に与える影響について考察していく。

ハイブリットな商用車業界
時流を捉らえ、1000兆円マーケットを狙う

 まず、改めて商用車を定義しよう。トラックやバスを指す商用車は、一般消費者がユーザーとなる乗用車とは異なり、主に事業者がユーザーとなる「B to B」のビジネスモデルである。また自動車業界に分類されながらも、ダンプカーやミキサー車などのように建設機械・農業機械との類似性も高く、両方の特性を持つハイブリッド型の“働くクルマ”と位置付けられる。

 昨今、自動車業界を賑わしている「自動運転」も、その分野で先行している建機・農機業界の側面から見れば、技術要件は違えども、ある意味当然の流れである。一方、自動車業界の側面から見ると「自動運転」の影響は、乗用車のようにライフスタイルの変化だけにとどまらず、積載空間の拡大に伴う車両開発の前提変化(注)、運転責任の所在論争の加速、運転者不足の解消、免許制度・規制の再構築など、今と全く異なる様相を呈すことになる。

 また、B to B特性の「多種多様なユーザー属性・プレーヤー」「コストセンシティブ」「高稼働要求」に加えて、以下の特徴も兼ね備えている。

  • ・社会インフラ(を支える)
  • ・地球・社会環境との親和性(が強い)

 デロイトは、こうした商用車周辺産業の市場規模は2030年に約1000兆円、2050年に約1500兆円に達すると推計している。これは、現在の商用車ビジネスモデルを前提に算出しており、後述するモビリティー革命により生じる経済、規制、技術などの変化の捉え方や影響ドライバーにより、その定義や内訳は変わるであろう。しかし、社会インフラである商用車業界の市場規模自体は不変であり、この“黄金郷”を狙わない理由はない。

 それでは、将来の覇権を獲得するために何が必要になるのだろうか? それは、社会トレンドを正しく捉え、顧客を真に理解し、商用車ビジネスを次世代創成事業として再定義して次の一手を打つことに他ならない。では一体、将来起こり得る(もしくは既に起こりつつある)社会トレンドとはどのようなものなのだろうか?


注:全長規制のある地域での車両開発は、運転空間と積載空間のバランスというジレンマとの戦いだったと言っても過言ではない。運転空間の要件変化により、従来の開発前提・制約が変容する意味合いは大きい。