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早く安く失敗すべし

 ここ10年間で、新規事業の可能性を確認したり、その中身を調整したりすることにかかるコストは大幅に下がった。開発ツールの性能は向上して価格も安くなり、ソフトウエアやWebサイト、スマートフォン用アプリの試作品を早く安く作れるようになった。ティーンエイジャーでさえ、お金を使わずに見栄えの良いWebサイトを開くことも、面白いアプリを作ることもできる。

 

 レンタルサーバーとクラウドサービスなどにより、サーバーやデータセンターを自前で立ち上げることなく、サービスを展開できるようになった。電子商取引のさまざまなプラットフォームは、専用ソフトの開発を行わずに、商品の陳列や顧客情報の登録、受注、決済、ユーザーからの評価の管理などを可能にした。倉庫や配達、コールセンターといったロジスティクスも、外部委託が可能だ。このため、以前よりも安く速く新しいアイデアを試せる。

 

 つまり、リーンスタートアップという経営哲学は、新規事業の「実験」を安く実施できるようになったからこそ、生まれたのだ。リスク低減の観点から見れば、次々と実験を行いながら将来性のないアイデアを切り捨て、有望なアイデアを磨いていくという方法が成功の近道である。

 

 シリコンバレーの起業家と投資家は「失敗は早く安くしたらよい」という点で、意見が一致している。起業家が自分自身に対しても、投資家に対しても負っている義務は、考案した商品が消費者に受け入れられるかどうかを確かめることになるべく費用と時間をかけないことだ。