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満員電車でも座れる「座席シェアアプリ」

 いつものように、各テーマの最後に新規事業のアイデアを紹介したい。今回のテーマは電車内の座席シェアサービスである。

 多くの会社員や学生にとって価値が高いものの一つに、通勤時の電車内の座席がある。現在は、座席に座れるのは「早い者勝ち」である。この「先着主義」の方法はシンプルだがシビアである。先日、電車の中で立っていた男性が、座っている別の男性に対して「具合が悪いので座らせてくれませんか」と訴えている場面を見たことがある。その光景を私は冷や冷やしながら見ていたが、頼まれた男性が席を譲っていたので、安心した。別の日には、電車内の床に座り込んでいる女性を見たことがある。

 こうした場面を見て、私はふと考えた。優先席の対象になる人以外で、どうしても座りたいのに座れないで困っている乗客はどのくらいいるのだろうか、と。

 限られたものを効率的に配分するには、市場を通じて人が自分の要求を伝えるという方法が主流である。恥ずかしくない取引手段があれば、上述した体調を崩した男性と床に座っていた女性は、少額のお金を支払ってでも、席を譲ってもらいたかっただろう。一方で、お金もらえれば、席を譲る乗客もいたはずだ。

 こうした取引をスマートフォンのアプリで実現できると思う。これにより、電車やバスなどの「座席市場」が生まれるのではないか。座席を譲ってもらいたい人を有料で座れるようにし、立っても構わない人に報酬をもたらす。そうすれば、黙って我慢することや、あるいは恥ずかしい思いをすることは少なくなるだろう。

 座る権利をやり取りするのに、現金を授受するよりも、ポイントを利用したり、一部あるいは全部のお金をチャリティーに寄付したりした方が良いかもしれない。その他の仕組みも考えられるが、本稿では詳細に考察しない。要点は、スマートフォンのおかげで、交通会社が提供する優先席や指定席よりも柔軟で便利な座席配分仕組みが可能になっているということだ。実現にはさまざまな課題があると思うが、それらを乗り越えてまで挑戦する起業家は新たな「C2C市場」を生み出して交通の利便性を上げるだけでなく、チャリティーへの資金提供にも貢献できるだろう。