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 報道によると、担当者が法令を守る意識が低かった、担当部門の上司は全く気が付かなかった、などと伝えられている。

 言うまでもなく、メーカーは仕事の手順(プロセス)を決めている。プロセスは、開発の初期から量産出図、生産準備、生産まで、多くの仕事の手順の単位(ステップ)で構成される。このステップは、それぞれの企業が歴史の中で積み上げてきたオリジナルのものだ。

 これらのステップには、仕事の節目ごとに、次の段階への移行を審議・決裁する場があるはずだ。決裁者の職位は対象製品の重要度に応じて決まる。重要度は製品や市場環境の新規性、生産規模などを踏まえるが、重要度が高いランクに位置付けられた製品の決裁は、品質担当役員などトップレベルの職位の者が行う。図面を後工程へ送る量産出図や量産品出荷の可否といった重要な判断を行うからだ。

 通常、この決裁をする場(決裁会議)の運用規定も審議する項目も決まっている。ここで、審議される側(報告者)は、それぞれの項目を分かりやすく報告することが大切だ。技術課題が理論的に成立しており、かつ試験・実験で定量的に検証できていることを示す必要がある。さらに、試験条件や試験方法も具体的に示し、そこから得られたデータをどのように処理したかや、合否判断基準についても明確に説明しなければならない。こうした分かりやすい報告が決裁者の正しい判断に不可欠だからである。

 決裁の場に報告者はプライドをかけて臨み、決裁者はそれに相応しい心構えで受ける。社内といえども甘えは許されない真剣勝負の場である。

 今回の品質不具合に上司は全く気が付かなかったということは、決裁会議が有効に機能せず形骸化していた可能性が考えられる。言うまでもなく大切なのは内容だ。「『やった』という実績づくりを目的としないこと」。「設計力」を活かし高めるためにはこの点に気をつけなければならない。

 絶対に起こしてはいけない品質不具合には、暴走(Over Run)や火災(Fire Hazard)などのいわゆる「重致命故障」もある。決裁会議の目的がやったという実績づくりになっていないか、一度ふり返って欲しい。