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ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
ワールドテック 代表取締役、元デンソー設計開発者 寺倉 修 氏
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 「米国の電気自動車メーカーTesla Motors社のクルマが、運転支援システム『Autopilot』を効かせた走行中に死亡事故を起こした。これについて調査している米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が、新たに同社の別のクルマの事故についても調査を始めた」と報道された。この事故も同システムが走行中に起こしたものであるなら、前回のコラムで取り上げた「自然はだませない」ということに起因する可能性が考えられる。

 今回は「自然はだませない」、すなわち「図面に書かれたことは全て理論で説明でき、試験・実験で検証できていなければならない」ということをさらに掘り下げる。

 造られたもの(製品)の役割は、入力(Input)から出力(Output)を導きだすことである。もちろん、Outputはお客様にとって「価値あるもの」でなければならない。だが、期待する価値だけではなく、「有害な効果や損失(劣化)」も生じる場合がある。この有害な効果や損失が「品質不具合」である。先のコラムで取り上げたアクセルペダルが戻りにくくなった例は、期待する価値である踏力だけではなく、摺動(しゅうどう)抵抗が増大するという有害な効果を生じた。

 なぜOutputに有害な効果や損失が出るのか。実は、驚くほど平易なことが理由である。ストレスがあるためだ。製品は、ストレスがなければ永久に同じ状態で存在し続ける。劣化とは無縁だ。しかし、現実にはストレスを避けることはできない。例えば、空調の整った室内でもオゾンは存在するであろう。コントロールされた室温も厳密にはストレスだ。

 このことを踏まえると、理論で説明し、試験・実験で検証するために行うべきことは自ずと決まる。それは次の3ステップだ。まず、[1]製品に加わるストレスを把握すること。次に、[2]把握したストレスに対して設計的な処置を取ること。そして、最後に[3]設計的な処置の妥当性を評価することである。