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なぜ、設計目標値を見直すのか

 仕事柄、設計目標値についてさまざまな企業の人と意見交換する機会がある。よく聞くのが、「開発設計段階の半ばで設計目標値を見直す」という話だ。確かに、試作品を評価して問題点が見つかれば対策を講じることがある。これはステップを遡る、つまり手戻りすることになるが、多くは想定内のはずだ。だが、設計目標値の設定までの手戻りを許してはならない。なぜなら、それまでに投入した人、もの、金の多くがムダになるからだ。時間については取り返しがつかない場合もあるだろう。

 にもかかわらず、設計目標値まで手戻りするというのだ。その理由を探ると、設計目標値の設定の重要性を理解できていないことが多い。設計目標値を決めるために十分な時間を割かずに、とりあえず開発を始めて走りながら設計目標値を考えているといった感じだ。

 繰り返すが、開発設計段階における全ての活動は、設計目標値をいかに100%達成するか、そのためだけに存在する。従って、設計目標値を走りながら決めるというのは本末転倒だ。設計目標値の設定まで手戻りした場合の損失の大きさと比べれば、設計目標値の設定にフロントローディングを実施する負荷は十分に許容できる。

 では、設計目標値の設定をフロントローディングする取り組みはどのようなものか。このコラムの読者はもう気付いていると思う。その取り組みの例を既にこのコラムで紹介しているからだ。それは、コスト目標値の根拠を明らかにしよう、定量的な根拠を踏まえよう、というものだ。「そのコストはお客様に受け入れられるか」「あの競合よりは優位に立とう」「前のバージョンよりも○円安くする」といった具合に、チームメンバーなど関係者が納得できる定量的な根拠を共有化することが大切だ。こうして決めた設計目標値であれば、見直すことにはならないだろう。

 まとめると、仕事は事前準備、すなわちフロントローローディングが大切だ。開発設計段階のフロントローディングは、設計目標値の設定にある。定量的な根拠を踏まえ、チームメンバーが納得できる設計目標値を設定できるように十分な負荷をかけねばならない。開発設計の道半ばで設計目標値を見直すことはあってはならない。

 設計目標値の設定にフロントローディングができているか、一度振り返ってみてほしい。