医療機関も参加のアイデアコンテスト

 睡眠科学を導入することで、選手の回復力やパフォーマンスの向上を図る動きは米国のスポーツ界でトレンドになっている。その中でも、リーグとしての導入は他のスポーツ界に先駆けてのものとなる。スリープ・ナンバーはこれまでNFLのチームとは、ダラス・カウボーイズとミネソタ・バイキングスと契約していた。ミネアポリスに本社を置く同社がスーパーボウル直前に提携を発表した背景には、スーパーボウル開催地での産業発展に寄与していることをアピールする狙いもあったと見られている。

 スーパーボウルの前日の2月3日にはミネアポリスの劇場で「1st・アンド・フューチャー」が行われた。これはNFLとメディア企業のコムキャストNBCユニバーサル、医療機関であるメイヨー・クリニックがスポンサーとなって開催されている、ベンチャー企業を対象とした優れたビジネス・アイデアを競うコンテストである。毎回3つのテーマを示してアイデアの募集を行い、それぞれ3社が最終候補に選ばれる。スーパーボウル前日にNFLコミッショナーやスポンサーの重役たちの前で各最終候補が公開プレゼンテーションを行い、最終審査となる段取りだ。

 今回は防具の進化、速い回復のための新たな療法、アスレチック・パフォーマンス向上のための技術の3部門で競われた。

 ヘルメットの内部に装着し、衝撃を低減するスプリング・システムや潜在的な神経障害を10秒で診断できるアイ・トラッキング・システムなど興味深いアイデアが最終候補となっている。

 そんななか、防具部門で優勝したのは液晶エラストマー(LCE)と呼ばれる形状変化ポリマーをヘルメット内側の緩衝剤に使用するというアイデアを出した米インプレッシオ社だ。共同設立者のクリス・ヤカッキー氏はLCEの研究で科学賞を受賞した実績を持つ。ヘルメットの緩衝剤の開発に絞っているのが特徴だ。

 回復部門で優勝したのは、カリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置く米リカバーX社。同社は氷や水を使用しないことでより自由にホット&コールドセラピーを行う事が出来る装置を開発するハードウエア企業だ。

ダッシュタイムを定量化

 パフォーマンス向上部門ではカナダ・トロントのカーブ・ai社が優勝した。同社はコンピューター・ビジョンと拡張現実(AR)を使用し、エクササイズ中の身体の角度などの人間の動きを捉え、40ヤードのダッシュタイムなどの運動活動を定量化することで、パフォーマンスの向上とケガのリスクを評価する技術を開発している。

 優勝した3社には翌日のスーパーボウルの観戦チケットと共に、それぞれ5万ドルの開発資金が贈られた。

 米国最大のスポーツイベント、スーパーボウルはこのようにテクノロジーへの取り組みを披露する格好の“ショーケース”になっている。