新味に欠ける感も
一方、ベライゾンのライバルである大手携帯キャリアのAT&Tも、スポーツ会場での5G活用に動いている。今年1月、NFLダラス・カウボーイズの本拠地で、同社がネーミングライツを取得しているAT&Tスタジアムに5G施設を導入する計画を発表、2月には5Gネットワークの実証実験も行った。
ソフトウエアをアップデートする際のダウンロード速度を測定したところ1.5Gbps(ビット/秒)を記録したということだ。その時点ではまだ限られた地点のみに機器が設置されていたが、スタジアム全体をカバーできるようにするとしている。
カウボーイズは「アメリカズ・チーム」というニックネームを持つほど人気が高いチームで、AT&Tスタジアムは8万人収容の大スタジアムだが、満員の試合が続く。昨年だけでAT&Tのユーザーが155TBを越えるモバイルデータを使用したという。それだけに5G導入の意義は大きい。
AT&Tのイガル・エルバス上級副社長も「5Gは接続速度が速くなるだけだと思われがちですが、5Gは劇的で刺激的な方法でスタジアムでの体験を変えることが期待されています」とコメントした。
ただ、福岡市の「福岡ヤフオク!ドーム」で5GとVRの実証実験を実施したソフトバンクもそうだが、5Gを使ったスポーツ界での取り組みというと、先に示したベライゾンとNFLの3つの柱に集約されてしまうのが現状だ。
確かにどれも画期的ではあるのだが、新味に欠ける感が出てきているのも事実である。さらにどれぐらいの需要があり、定着できるのかが見えないところもある。今後はある意味、5Gならではの突き抜けたアイデアが出てくることが期待される。