放映権料収入は年37億米ドル

 では、どのようにしてこのような成功を収めることができているのか。基本的なところを見てみよう。

 まず挙げられるのが、収益源のリーグ一元管理と収益の分配制度だ。世界的にスポーツのテレビ放送権料が高騰しているが、NFLはレギュラーシーズンとプレーオフのすべての放送権をリーグが一括管理している。

 リーグが一括管理することでテレビ局に対して高い交渉力を持ち、強い共同体制を持つことで放送権料を引き上げると同時に、中継番組の人気を高めることに成功してきた。NFL黎明期の1960年代後半から当時のNFLコミッショナーがテレビの力を認識し、重要視していたことがその大きな要因となったと言われている。

 現在の放送パッケージは大きく五つある。日曜午後に行われるアメリカンフットボールカンファレンス(AFC)のホーム・ゲームを放送するCBSは年10億米ドル(約1080億円)、ナショナルフットボールカンファレンス(NFC)のホームゲームを放送するFoxは11億米ドル(約1188億円)を支払っている。さらに1ゲームだけ全米中継されるナイトゲームについては、日曜開催分をNBCが9億5000万米ドル(約1026億円)、月曜開催分をESPNが19億米ドル(約2052億円)、木曜開催分をNBCとCBSが合計4億6000万米ドル(約497億円)を支払っている模様だ。つまり放送権料だけで、年37億米ドル(約3996億円)を得ているのである。

マイクロソフトが「iPad対抗策」

 

 リーグの公式スポンサー制度も大きな収入源だ。公式スポンサーになればリーグのロゴや映像を使い、全米規模での宣伝活動を展開できる。スポンサー制度では、いわゆる1業種1社の原則が取られており、例えばホテルで米マリオット・インターナショナル社、タイヤでブリヂストン、ソフトドリンクで米ペプシコ社が公式スポンサーとなっている。2013年にはサイドライン・テクノロジー・スポンサー兼公式タブレットとPCオペレーションシステムという少し複雑な分野で米マイクロソフト社がパートナー契約を結んだ。契約料は5年間4億米ドル(約432億円)と見積もられている。同社が展開するタブレット端末「Surface」の強力なライバルである、「iPad」への対抗策として注目されている。

 スポンサーシップについて調査している米IEG社によれば、2015年時点での公式スポンサーは37社に上っており、その総収入は12億米ドル(約1296億円)に達した模様だ。さらにグッズなどのマーチャンダイジングの収入に関しては、全米展開など主要な部分をリーグが管理している。

 そうして得た収入をNFLは一定部分以外は所属チームに分配する。こうすることで、大都市と中小都市といったフランチャイズの規模によるチーム格差が生まれにくくなっているのである。

戦力均衡を生む厳格なサラリーキャップ

 一方、支出の面でNFLが導入し厳格に運用しているのが、選手に支払う年俸総額の上限を定めた「サラリーキャップ制度」だ。これは労働組合である選手会との間で取り決められたもので、全チームが同じ金額となる。

 2016年の場合は、リーグ全収入の約48%とされ、各チームに割り振られた上限は1億5527万米ドル(約168億円)。他チームを出し抜くような破格の大型契約が抑制され、チームの経営安定につながる上、限度額が同じなのでリーグ全体の戦力均衡につながる。リーグの魅力向上に貢献する施策といえるだろう。

 このようなサラリーキャップ制度はNBAなどでも導入されているが、大型契約を可能にする一種の抜け穴が設定されていたりする。そのため、NFLの厳格な制度は「ハードキャップ」、NBAのような制度は「ソフトキャップ」と呼ばれる。

 このような様々な施策によって、NFLは大きな成功を収めてきた。では次回から、NFLを含めさまざまなスポーツでの取り組みと課題を見ていきたい。