一方、対照的な結果となったのがストリーミング中継である。NBCUはリオ五輪サイト「NBCOlympics.com」と契約視聴者向けアプリ「NBC Sports app」を通じて、全競技でライブ、録画、ハイライトの3種類を配信した。その総配信時間は33億分(5500万時間)に達したという。
ライブでの配信時間は27億1000万時間で、これだけで過去の五輪で行われたストリーミング中継すべての総配信時間の2倍近くという。視聴ユニークユーザー数は約1億人で、前回より29%の増加となった。興味深いのは、サイトとアプリでライブ・ストリーミングを視聴したユーザーの半分以上が35歳以下だったと発表されている点だ。やはりストリーミングを視聴するのは若者層であり、“五輪離れ”というより“テレビ離れ”と言った方が妥当のようにも見える。
大きな画面で見たい
どのような端末から視聴していたかに目を向けると、さらに興味深い。カナダに拠点を置くネットワーク企業Sandvine社が現地時間2016年8月10日に非公表のインターネットプロバイダー1社に対して行った調査結果によると、最も多かったのはWindowsパソコンで47.44%、次がMacの14.1%。いわゆる「パソコン」が6割以上を占めているのだ。
ストリーミング視聴をイメージしたとき、まず挙げられるであろうスマートフォンやタブレット端末を含むモバイル端末は約20%だった。パソコンに加えて、「Apple TV」や「Amazon Fire TV」のようなセットトップボックス(STB)が約17%だったので、好きな時に好きな競技の画像を見たいというストリーミング志向の若者にあっても、「より大きな画面で見たい」という思いが優先されたと考えられる。
今回のリオ五輪は、五輪さらにはスポーツにおける視聴の主役がテレビ放送からストリーミングに移行する節目の大会となったと言えるだろう。