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CBSがスーパーボウルを視聴者非限定で配信

 では、NFLは今シーズンどうするのか。サーズデーナイトフットボールをアマゾンが独占的にストリーミングするのは前述の通りだが、その他の独占権のない試合のストリーミングに関しては、意外にも実質的に全てのファンに解放したのである。携帯電話会社などに関係なくNFLの公式アプリや米ヤフーのアプリ、Webブラウザーなどから視聴できるようにした。

 さらに4大ネットワークの一つで、2019年2月の第53回スーパーボウルの放映権を持つ米CBSは、同試合を同局のWebサイトとアプリで視聴者を限定しない形でストリーミングすることを発表している。

2019年の第53回スーパーボウルを同局のWebサイトとアプリで視聴者を限定しない形でストリーミングすることを発表したCBSのWebページ
2019年の第53回スーパーボウルを同局のWebサイトとアプリで視聴者を限定しない形でストリーミングすることを発表したCBSのWebページ
(図:CBS)
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 こうしたNFLの判断について、現在NFLが結ぶ年間50億ドルものテレビ中継契約が2021年に切れることから、「次の契約交渉の相手にネット企業も含める事への布石ではないか」「契約料のアップを狙っているのではないか」「今後テレビより携帯端末での視聴が主流になると判断したのでは」などの憶測が飛び交っている。

 これについてNFLのビジネス・メディア責任者、ブライアン・ローロップ氏は開幕直前のイベントで「我々はファンが依然としてできるだけ一番大きなスクリーンで見たいだろうと考えている」と、あくまでテレビ視聴がメインであるとコメントした。

技術課題残るストリーミング

 その一方で、一般に「コードカッティング」と呼ばれるケーブルテレビや衛星放送の契約を打ち切った人々は、試合をテレビで見ることができても携帯端末での視聴を好むと指摘。さらに人々が日常のなかでアマゾン、フェイスブック、YouTubeを利用する時間が増え続けていることが「驚異的」だと認め、この事実がリーグのディストリビューション戦略を複雑にしていると述べた。

 ただ、プラットフォームで高品質のストリームを管理できることが重要だとした。「我々の視聴者は2500万人に達することもあるが、インターネットで同時に2500万人に高品質なライブ映像を届けるサービスはこれまで見たことがない」と、ストリーミングにまだ課題が多いことも指摘した。

 実際、アマゾンが行った昨シーズンのストリーミングでの平均視聴者数は約31万人で、最も同時視聴者数が多かった瞬間でも約200万人に過ぎなかった。米国最大のスポーツイベントであるスーパーボウルに関しても今年2月の第52回はNBCが放送とライブストリーミングを担当したが、テレビの平均視聴者数が1億340万人に対し、ストリーミングは平均202万人、ピーク時で310万人だった。さらに「Hulu」や「Playstation Vue」など一部の配信サービスで、データ伝送が途絶える不具合が発生している。

 こうしたことからも、確かにストリーミングがテレビに即座にとって替わるという見方は早計かもしれない。ただNFL自身も認めるようにその利用者は着実に増加してきており、さらに若者のユーザーが多いという特徴は見逃せない。今回の「解放策」は2021年の契約更新に向けての実験の一部と見た方が良いだろうが、情勢が刻々と変化しているのも事実である。