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 次に、図3に示したのが、公差設計を行った上で作られた幾何公差図面です。C1とC2の穴の中心距離をφ0.05の円筒公差域で規制した上で、これら2つの穴をセットで「グループデータムD」と設定。このグループデータムDを使って波線部の輪郭度を規制しています。

 このグループデータムDは、C1とC2のどちらにも優先度をつくらずに2つをセットで基準とするという意味です。概念的には「2つの穴を結んだ直線の中点を基準とする」というものです。つまり、設計者の意図である 「2つの穴(C1とC2)を基準とした、右下の波線部の形状と位置」を明確に指示できています。

図3●公差設計をした上で作られた幾何公差図面
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図3●公差設計をした上で作られた幾何公差図面

 以上は、デフォルメした典型的な例となります。幾何公差図面の推進といっても、これまでの寸法公差図面を単純に幾何公差化しただけでは、幾何公差の導入効果の期待値は高まらないことを理解してもらえたでしょうか。

 よくあるのは、現状行われている部品加工の工順(工程の順序)や、その基準の取り方にとらわれてデータムの設定や公差の指示を行う例です。こうした単純な方法では、部品メーカーから「幾何公差記号の数だけコストが上がります」と指摘されるケースが多くなります。そこは、本来の機能や目的をもう一度よく考えて図面化することが大切です。

 なお、他の考え方として(さらに精密位置決めを行うために)、片方の穴を長穴にする方法が当然ありますが、その掘り下げもまたの機会にしたいと思います。