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技術者は論理的に説明できるようになろう

 間違った方法で開発を進めてしまうという問題は、技術者がしばしば直面する問題だと思います。事実、先の会社の技術者がそうです。恐らく、この会社の競合比較表に基づく商品企画の仕組みは、代々受け継がれたものでしょう。そしてその仕組みが機能した時代があったことも事実でしょう。それはそれで受け止めます。しかし、間違ったことを延々と続けているとどうなるでしょうか。間違いなく収益性が下がります。儲(もう)からなくなるのです。

 「儲からなくなる」──。

 会社が儲からなくなってよいはずがありません。代々受け継がれた制度であっても、機能しなくなりつつあるのならば、変えるのは当然です。しかし、既存の制度にはどこか正しいような響きもあります。こうしたときに、既存の制度の良い部分は受け止めつつも、問題点をズバリ改善できなければ、技術者は良い仕事ができるはずがありません。

 良い仕事ができるようにやり方を改善していく。このことには賛同してもらえるのではないかと思います。しかし、現実問題として、実現しようと思えば、技術者が競合比較表に基づく商品企画などの既存制度の問題点を指摘できなければ始まらないのです。

なぜ論理的に間違いなのか?

 さて、競合比較に基づく商品企画はなぜ間違いなのでしょうか。まずは、競合比較に基づく商品企画が一見正しい理由を考えてみましょう。

我々が製造・販売する商品は、市場で競合他社の商品と競争している。競争に勝たないと儲からない。そのため、競合品よりも良いものをより安く提供する。これが競争に勝つ秘訣だ。商品をより良いものにするために、競合比較表を利用しているのだ。

 さあ、これを論理的に批判してみましょう。ポイントは2つあります。

 最初に言えるのは、「競争に勝たないと儲からない」ことを前提にしている点が間違いだということです。市場では競争にならないようにする(顧客に比較されないようにする)ことが正解です。なぜならば、比較されれば価格が下がるからです。

 もう1つは、商品をより良いものにするためには、競合比較表は不要だということです。商品は、顧客価値を発揮します。顧客価値に独自性があれば顧客は喜びます。独自性がなければ顧客はそれほど喜ばないどころか、より低価格なものを選びます。そして、収益性は下がるのです。

[1]市場では競争すると収益性は下がる
[2]独自性がなければ収益性は下がる

 ここまでは経営学の理論で導かれる結論です。当たり前の話。そして、これら2つが前提にしているのは収益性です。いかがでしょうか。納得してもらえたでしょうか。上記のような説明は、技術者が上司の前で言えなければいけないと思います。競合比較表に基づく商品企画のような従来型の開発を、「なあなあ」の雰囲気で続けていてはいけません。