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ネットワークのソフトウエア化

 ネットワークのソフトウエア化は、「ネットワークの機器や機能をソフトウエアプログラムによって具現化し、より柔軟かつ迅速にサービスを構築・運用していく」という通信ネットワークにおける大きな変革を意味する。ソフトウエアによる柔軟性を生かして新しいネットワークやサービスを素早く立ち上げ、設備コストや運用コストを最適化するとともに、新たな価値を生み出す通信インフラストラクチャーの構築を目指す。前述のNFVやSDNも含めた広い概念としている。

 「ネットワークのソフトウエア化(Network Softwarization)」という言葉は、産業界の関連する取り組みを体系化しようというアカデミアの活動から生まれたもの。NFVやSDNの技術を活用していく5Gの有線ネットワークは、このトレンドの一つとして位置付けられる。

 一方、アプリケーションのエンドツーエンド品質の実現には、既存技術に追加する「5Gにおけるネットワークソフトウエア化の技術課題」がある。具体的には次の4つとなる。

 (1)スライス化された仮想ネットワーク:アプリケーションのエンドツーエンド品質を実現するために、無線アクセス技術、有線ネットワーク技術ともに必要かつ十分な性能を提供する必要がある。一方、アプリケーションに応じて適切なコストで提供できる柔軟性を兼ね備えている必要がある。そこでアプリケーションを構成する機能を柔軟に組み合わせ、制御する枠組みとしてスライスという概念を導入する。

 (2)端末やクラウドまで広げる水平拡張:従来のスライスは、有線ネットワーク部分のみで定義されている。エンドツーエンド品質を議論するためには従来の概念を無線アクセスネットワークまで拡張し、さらには端末やクラウド上のサーバーも含めるものと再定義する。そのうえで必要となる技術課題を明らかにし、研究開発を進める。

 (3)データプレーンの柔軟性を高める垂直拡張:5Gネットワークは、IoT(Internet of Things)/M2M(Machine to Machine)のための通信や、☞ICN/CCN技術によるコンテンツ配信用の通信など、多様な形態のアプリケーションの実現が期待される。対象となるアプリケーションが厳しい品質要件を持っている場合など、データ処理を柔軟にプログラムする機能が必要なケースが考えられる。そのようなケースに対応するため、アプリケーションから必要となるデータ処理を直接制御できるインタフェースが必要になる。NFVやSDNでは垂直方向には抽象化(詳細な動作を隠蔽すること)を進めることにより、運用コストの低減を目指している。その考え方を踏襲しつつ、アプリケーションの品質要件を充足する仕組みをいかに作り出すかが技術的なチャレンジとなる。

ICN/CCN▶
Information Centric Network/Contents Centric Network。補完されているアドレスではなく名前でコンテンツにアクセスする。

 (4)ソフトウエア/ハードウエアの有機的な機能分担とその制御:アプリケーションの品質を充足することは重要だが、その一方で、設備コストや運用コストの最適化の観点も外せない。アプリケーションを構成する部品としての機能を、ソフトウエアで実現するのか、データ処理プログラム機能による実現か、あるいはハードウエアによる実現のどれが最も適しているのか。トレードオフの関係にあるそれらをどのように選択し、どう組み込んでいくかが課題となる。