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インダストリー4.0で国内に工場を残す

桑島氏:インダストリー4.0は、結局、ドイツがもともと持っていた危機意識とか課題に対する1つの解になったのでしょうか。

長島氏:なっていると思います。要は、原価を下げたかったんです。あとは、開発のスピードを上げたかった。もしかすると、スピードの方が大きい要因かもしれないですが。原価を下げる必要が生じたのは、電気代や労働力が安い東欧などの工場に対抗しなければならないためです。工場の原価を下げないと、ドイツの工場がなくなっちゃってまずいという危機意識です。

桑島氏:インダストリー4.0って、スピードの話とコストの話、見える化の話と、いろんな話がミックスになっていますよね。

編集部:多品種化の話も入りますね。

長島氏:その中で、最初の狙いは工場をドイツに残すことだったんです。GDPの20%以上を製造業が占める中、このまま工場の海外移転が進めば潰れていくという状況の中で、工場をなんとか残したいというところから入ったんです。

 もちろん、コストをどう下げるかという課題に取り組んでいたのですが、そのうちに、まさに開発スピードの話が出てきて、いい車をより高い頻度で早く出すことができると、どんどんどんどん売り上げが伸びる。そうするとコストが下げられるようになる、という感覚になったんではないでしょうか。

桑島氏:ただ、その2つを達成したからといって、いい経営にはなるかもしれないけれど、いいものが出てくることが保証されるわけではないですよね。“いいもの”の定義にもよりますが。

長島氏:そこは、バーチャルシミュレーションを活用したんです。極端に言っていますけれど。リアルな実験、物を作ってからの実験では金はかかるし数回しかできない。つまり、いろいろな案は試せない。それに比べてバーチャルシミュレーションって何がすごいかと言うと、1000個の案が試せる、いや1万個かもしれません。そうすると、どの案がいいかっていう、相対比較が全部できる。そこで絞り込んで、いい3個を実験に持っていけば、間違いなく性能が上がる。もちろん、モデルが上手くできないと、シミュレーション精度が悪くてダメですよ。最近、こういった評価に使えるレベルにまで、シミュレーション精度がどんどん上がってきているんです。