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ノリの法則

桑島氏:逆の事例と言うんでしょうか。まさに昨日、自動車メーカーA社のあるプロジェクトの責任者の方と会ったんですが、ものすごく楽しそうで。新しいことを言うと、すぐばっと調べてばっと行動する。テレビ会議だったんですが、相手側同士もずっとわーっと議論し始めて止まらない。これが“ノリの法則”なんだと納得しました。なぜそれほど楽しいかというと、彼らは今北米ですごくうまくいっていて、研究予算も十分あるからだと思うんですけれど。研究予算があるがゆえに、ありものも技術も何でも使える、といった状況でしょうか。リンカーズもばんばん利用しちゃうような(笑)。

長島氏:いえいえ、恐らくA社にそんなに研究予算ないですね。逆のことを言うと、B社はいろんな部署が研究予算をたくさん持っているはずなのに、楽しそうじゃないですから。

編集部:例えば、先ほどお話のあったマツダは楽しそうなんですか。

長島氏:楽しそうです。ほとんどの人が楽しそうです。部品メーカーの人が、B社の仕事をやるよりマツダの仕事をやりたいって言うくらいですから。

桑島氏:お金にならないけれど、面白いから、と?

長島氏:まさにそうです。

桑島氏:A社に行って、私がずっと分からなかった“ノリの法則”がちょっと腹落ちしたんですよ。なんであんなに、売れている製品とか、いい製品が出ているのか、理由がとてもよくわかりましたね。なんだこのノリは、みたいな。

長島氏:特にマツダなんかはもう、楽しいのはほぼ全社員なんですよ。でもフォルクスワーゲンとかベンツとかは絶対にそうはならない。「俺が牛耳ってるぜ」っていう人だけが楽しいんです。ほかは、やらされることばっかりで、自分で決めたやることがないから楽しくない。

編集部:ところで、“ノリの法則”とは何のことなのでしょうか。

長島氏:弊社の遠藤(ローランド・ベルガー 会長の遠藤功氏)が書いた本にある言葉ですね。まぁ、私は中身をちゃんと読んでないですけれど。

一同:(笑)

長島氏:遠藤は「現場力」っていうことをずっと言っているわけですけれど、現場力っていうのは自律的に動いてる状態ですよね。そこで、自律的に動くまでのとっかかりをどうやって作ればいいのか、ということを解説した本ですね。

編集部:…読んでないんですよね(笑)。

長島氏:いやいや、目次を見て、面白そうなところだけちゃっちゃっちゃって読むんですよ。面白い本です、冗談抜きで。

 マッチングの話で、マッチングが大事なのではなくて、その場作りが大事なんです。要は、マッチングしたくなる気持ちを作る方がよっぽど難しいということです。

編集部:それが、まさにオープンイノベーションの追求はいけないとおっしゃる背景ですね。

長島氏:オープンイノベーションを追求するんじゃなくて、マッチングしたいという気持ちを生むことを追求した方がいいです。そして、それがLMSじゃないですか、と言ってるんです。日本的だからこそ、売れるんですよ。欧州のアプローチでは、それはいらないんです。欧州では、社員全員にノリがある必要がない。トップの天才のところに情報が集まり、その情報が天才の見やすい形になり、そして天才が考えればいいので。全員のノリがいいかどうかは関係ないです。

編集部:ちなみに、日本に天才が生まれない理由は何なのでしょうか。

長島氏:うーん…

桑島氏:天才はいるんじゃないですか。天才が天才になれる場所にいないだけ、だと思うんですが。

編集部:例えば、日本だと天才は漫画家とかになっていそうですよね。

長島氏:ちょっと嫌な言い方かもしれないですが、欧州の天才ってありものの組み合わせが得意なだけですよ。それを「イノベーションだ」といっているだけで。ないものを作ろうとか、ないものを作って今のものに組合せようとか。そういう感覚は少ないと感じています。