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狙い目市場は

リンカーズ 専務執行役員の桑島浩彰氏。(写真:加藤 康)
リンカーズ 専務執行役員の桑島浩彰氏。(写真:加藤 康)
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編集部:米国では、製造業が外に出てしまったわけですよね。だとすると、裾野がないところに加工業を持っていっても……と思うんですけど、そうではないということなんですか。

岸岡氏:医療機器、研究開発機器など精密加工には、まだまだチャンスがあります。

桑島氏:金属加工よりももっと微細なところですね。

岸岡氏:金属加工でもいいんですけど、また自動車だとボリュームも大きいので、医療機器のような年間1万台以下、年間1000台以下など……。

編集部:日本で受注するのでは意味がないんですか。

岸岡氏:難しいですね。伸びづらいんです。

 医療機器のほか、検査装置や研究・開発用の機器などにもチャンスがあると思います。食にもありますね。例えば、三菱商事と亀田製菓の合弁会社である米TH Foods社は、アレルギーに目を付けて、小麦がダメな人に向けたライスチップスで非常に成功しています。「うちはこうじゃなきゃダメなんだ」ではなく、良い部分に特化していくと、日本の良さが「なんと素晴らしい!」につながると思うんですね。

 その裏には、何とか問題解決をしてあげようという思いがあります。先ほどのソニーの話もそうですし、日系大手自動車メーカーの「燃費の良い、精度の高い自動車を出そう」、ホンダの「野山を駆け巡ってもトラブらないオートバイを作りたい」、そして先ほどのTH Foods社の「アトピーの子どもたちにもおせんべいを楽しんでもらいたい」という気持ちには「Why」が強く押し出されていていて、それが歓迎されたんですね。ただ「良い加工をします」だけでは「Why」がないんです。

桑島氏:結局、どうしたらいいんですかね(笑)。

岸岡氏:コミットメントですかね。昔はそれがあったんじゃないでしょうか。やると決めて、ドーンと工場を造った。

 難しければジョイントベンチャーを組む。競合と組んでもいいと思うんですよね。競合の機器を使わせてもらって加工するとか。「GM社は競合だから、ちょっと考えにくいな」ではないんです。日本では考えづらい、その発想を、米国で打ち出していかないと。

編集部:今日のお話を聞いていると、過去の事例はものすごく勉強になることが分かりました。成功している会社が、1980年代、1990年代、もしかしたら1970年代にやったことは、決して枯れた話ではない、と。

桑島氏:基本は『MADE IN JAPAN』、ソニーの盛田昭夫氏ですね。あの本は教科書だと思います。

編集部:先におっしゃっていたように大企業の大本営は日本にあって、現地ではなかなか決断できないと思うんですね。ですから、中小企業のオーナー経営者の方こそ、未来があるのではないでしょうか。「やるぞ! アメリカンドリーム!」って。

桑島氏:I.T.A.社はまさにそれをずっと続けられているんですよね。

岸岡氏:そうですね、はい。トライしております。

編集部:リンカーズさんのネットワークの先にいるような人たちに対して頑張った方がいいのかなと、今日の話を聞いていて思いました。

桑島氏:まさに今、やろうとしているのはそういうことです。売り上げはもう少し大きいですね、10億~50億円ぐらい。銀行、商社にも全面バックアップしてもらって、やりましょうと。

編集部:成功事例を見せて「やっぱり行くべきだよ」という流れにしたいということですね。

岸岡氏:ただ“成功”が何なのかということはありますね。世界において200年以上の歴史を持つ会社は日本企業が4割を占めています。これが“成功”なのかもしれない。それはそれでいいと思うんですよ、継続性があるという意味で。

桑島氏:国内だと長期的な取り組みが大事だと思うのですが、じゃあ、米国でそれができているかというと全然違っている。米国でも結局、日本と同じだということ。扱うものが違うことはあるかもしれないけれども。

岸岡氏:本当に厳しいですよね。Apple社が創業500年じゃないから買いませんという人はいないでしょう。何のメリットをもたらしてくれるのか、メリットがなきゃ要らないよ、ということですから。

 だから、全部取っ払ってくださいよ、桑島さんも。全部取っ払って、ファーストネームだけで「何ができますか」って。

桑島氏:逆に「できる」とちゃんと言えれば入っていけるということですね。

岸岡氏:多様性の市場なので「こういうものはできるか?」と、結構、枠外のことを言ってくるんです。そこで、どこまで柔軟に対応できてどういった線引きができるのか、です。

桑島氏:そこが、日本企業の弱いところですよね。やっぱり事業部のものを持っていけといったような、単線のコミュニケーションになりがちなので。