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【正解】

(4)

【解説】

 半導体デバイスでは、化学的、物理的反応が進んで、ある限界に達した時に故障するという反応論モデルが一般に用いられている。その中でも広く使用されているのがアレニウスのモデルである。アレニウスモデルは、ある温度における化学反応の速度を予測するモデルであり、スウェーデンの科学者アレニウスが19世紀に提示した以下の式に基づく。

ここで、xは化学反応による劣化量、Kは時間tに対する反応速度、Aは比例定数、Eaは活性化エネルギー、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。活性化エネルギーEaは故障メカニズムに対して一意に定まるため、反応速度Kを絶対温度Tの関数として表現したのがアレニウスモデルと考えることができる。アレニウスモデルから温度が高いほど反応速度が速くなることが分かる。

 アレニウスモデルを用いると、温度T1T2の間の加速係数比は以下の式となる。

なお、温度2点間の加速係数比については、機械的応力、湿度、電圧などの影響も考慮した、以下のアイリングモデルも用いられている。

ここで、Sは温度以外のストレス因子をまとめた関数、nは定数である。

 以上の点を踏まえて、各選択肢の正誤について以下に示す。

  • (ア):(1)と(2)では故障数、(3)と(4)では劣化量
    上記のとおりxは時間の連続関数であり、劣化量を表わす。一般に離散値を取る故障数はそれ自体適切でない。
  • (イ):(1)では不良率、(2)では製品寿命、(3)では故障率、(4)では反応速度
    上記のとおりKは時間の関数としての反応速度を表す。製品寿命は個々のデバイスに関するものではないため劣化とは直接関係がなく、また、一般に離散値を取る故障率や不良率もそれ自体適切でない。
  • (ウ):(1)と(3)では電界強度、(2)と(4)では活性化エネルギー
    上記のとおりEaは活性化エネルギーを表す。一般にベクトル量である電界強度はそれ自体適切でない。
  • (エ):(1)と(4)では絶対温度、(2)と(3)では経過時間
    上記のとおりTは絶対温度を表す。経過時間はtを用いており、誤り。

(解説:群馬大学 畠山一実)


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