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 ヤマト運輸さんが始めたこの改革では、まず、コスト競争をやめる「値上げ宣言」が行われました。「これからは、無理なことはやりません。セールスドライバーに無理やり押し付けた負担を減らし、安全と安心を顧客に提供します」という、最も基本的な姿勢に回帰すると宣言したのです。

 通販業者が指定する配達時間を最優先とすることで、結果、荷物の扱いが乱雑になるというジレンマを抱えながら、それが使命と頑張り続けたヤマトさんでしたが、もう限界。というよりも、それがかえって顧客のためにならないことを、ヤマトさんは重視したのです。たとえ一時的に利益を失うことがあっても顧客の利益を優先する――まさに「英断」と言えます。

 見渡しますと、このようなことは他にも起こっています。例えば、小麦や油脂の輸入価格が上がり、そのコスト上昇を転嫁できずにいたお弁当業界。それが最近、遂に値上げする業者が現れたというのです。

 この業者は500円のお弁当を600円にしたのですが、ここに至るまで、どれだけコストダウンのための汗と涙を流してきたのでしょうか。それを知っているお客さまが値上げ後に離れたという話は聞きませんし、むしろ多くのお客さまは好意的に受け止めているのだそうです。

 それはそうです。お弁当の質や量を落としてまで500円に固執するよりも、余裕をもって値上げして、入っているお惣菜もチョッピリ豪華にした結果、かえってお客さまに褒められたのですから、それが本質だったということです。

 申し上げたいのは、安くし続けて、一体、誰が儲かるのかということです。お客さまは、値下げしてほしいと言っているのでしょうか。ひょっとして、提供側が一方的に気を回し過ぎて、お客さまから言われてもいないのに値下げが必要なのだと錯覚、あるいは勘違いしているのかもしれません。