PR

——攻めと守りで何が違うのですか。

伊賀 日本は職人芸的なものづくりを非常に得意とする。いわゆる作り込みといえる部分だ。しかし、日本以外の各国はこの作り込みの部分に関しては、“Don’t care”だ。日本が得意とする部分、本来ブラックボックスやノウハウともいえる部分をあえて逆手に取って、標準化における武器として出していく必要性がある。なかなか標準化が難しいことであることは承知だが、これが実現できれば日本の産業界は非常に優位に立てると思う。ここでは、他国とのパートナーシップも大事になってくる。そういう意味では、国内における標準化に対するスタンスも従来の守りの姿勢一辺倒から、徐々に攻めの風潮も広がりつつある。

——今後の取り組みは。

伊賀 現在、内閣府が主導となって、民間人が出向してフレームワークの策定を国レベルで行う研究会に参加している。これは特許、これは標準化、これはCloseという取捨選択をきっちりと行っていく必要があるからだ。また、後進の育成も重要な使命だと考えている。企業の経営者に対しても、標準化作業における人材育成の必要性を地道に訴えていく必要があると思っている。

(写真提供:パワーデバイス・イネーブリング協会)
(写真提供:パワーデバイス・イネーブリング協会)
[画像のクリックで拡大表示]

 これまでは半導体業界を中心に、標準化作業に携わってきたが、現在は色々な分野の関連企業、団体における国際標準化活動を支援している。あとは、「おもてなし」に代表されるように、旅館の標準化にも携わっていきたい。そういった意味でまいた種がどんどん芽を出すようになってきており、取り巻く環境は随分と変わってきた印象だ。日本の産業界を強くするには、標準化抜きには語れない。


伊賀洋一(いが・よういち)
1975年4月、日本電気(NEC)入社。半導体集積回路事業部生産技術部に配属。その後、民生製品生産技術製品担当、九州日本電気、米国NECローズビル工場、米国NECサンタクララ、製品開発、パッケージ・テスト開発、信頼性品質・技術などに従事。社外では2004年度よりスタンダード日本地区トレーサビリティ委員会共同委員長、JEITA半導体信頼性技術小委員会サブコミティ認定WG主査、ISO/TC292国際プロジェクトリーダ、国内審議委員会委員長に従事。2014年3月にルネサス エレクトロニクス(NEC、日立製作所、三菱電機の3社の半導体部門が源流)を定年退職。現在は関連企業、団体における国際標準化活動を支援している。
■変更履歴
伊賀氏からの申し出により、伊賀氏の定年退職後の活動内容に関する記述を変更いたしました。