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田子 そうですね。

野々上 あれはすごく面白い。最近は都心にもブルワリーができていますけど、作ったものをその場で飲めるということだから、管理などでIoTがうまく使えるんじゃないかと思います。

塩山製作所の工場を活用したワイナリー「MGVs(マグヴィス)」
塩山製作所の工場を活用したワイナリー「MGVs(マグヴィス)」(写真:Junya Igarashi)
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田子 オランダが農業大国になったのもデータ活用が背景にあると聞きますし、一次産業はIoTによる恩恵が大きいはずです。日本はまだ、就農している人たちのノウハウに依存しているところがありますよね。だけど、IoTやAIの基盤自体はあるのだから、今までの常識にとらわれずいかに産業転換できるかというのが大切です。産業が分断されているのは、結構罪なことが多い(笑)。

 そういう意味でいうと、MGVsにはワインをテイスティングしてもらうためのサーバーがあるのですが、そのサーバーはMGVsを運営する塩山製作所が自作しました。

 普通は専門のメーカーから買うんですね。500万円ぐらいするみたいですが。それだと、ユーザーがコインを入れれば自分で試飲できます。

自作したテイスティング用のワインサーバー
自作したテイスティング用のワインサーバー(写真:Junya Igarashi)
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 当初、MGVsを設計している段階では、オペレーションの部分に人をたくさん張り付けられるわけじゃないから、そのサーバーでいいという話でした。だけど、僕からしてみれば、コミュニケーションを大切にしてもらいたかったんです。半導体って、どうしても冷たいというイメージがあって、その業界の人たちがそのままワイナリーをやるのだから、この機会にお客さんとコミュニケーションを取るようにしたら、ブランドの価値がすごく上がると思ったわけです。そんなセルフサービスみたいなオペレーションにしたら、ブランドとして終わりだからやめた方がいいとずっと言い続けました。

 そうしたら、完成間近という段になって、そもそもサーバーを買っても減価償却が大変だということが分かり、サーバーを買うのは断念したんですね。だけど、もうカウンターとかも設計していたからスペースがぽっかり空いてしまった。それでどうするのかなと思っていたら、オーナーが「中身の構造は意外と簡単なんだよね」と言い出して、サーバーを作ることにしました。オーナーはエンジニアなので中身を設計して、僕もデザインしたのですが、最終的にすごくかっこいいのが出来上がって、落成式のときにもちろんワイナリー自体も話題になったのですが、このサーバーが注目されたわけです。業界の人が見て、「何これ?」という話になりました。