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内向きからは、新しい組み合わせが生まれない

米倉 はい。形式知には一切しません。「カリキュラムはどうなっているんですか」「どんなことをやるんですか」という問い合わせは多いので、事務局としては何か提示しなければならない。でも、僕は「そんなことはいい。語れない塾ですと言いましょう」と話しています。先ほど「卒塾証書はない」と言いましたが、塾生には「諸君自身が卒塾証書です」と話しています。

 だって、「僕は日本元気塾に通っています」なんて口にするのも恥ずかしいでしょう? 「ちょっとヤバい人なんじゃないの?」と言われそうで(笑)。

前野 いやいや、そんなことは(笑)。

米倉 日本で面白いことを始める人がいっぱいいて、その人たちの履歴書を見ると「日本元気塾を卒塾した」と書いてある。それを見た人が「いろいろな人が経歴に書いているけど、これって何だろうね?」と話したくなるような塾にしたい。

 だから、塾生には「やりたいことをやろう」「誰かが始めなければならないことならば、自分からやろう」と言い続けています。「会社を元気に、社会を元気に、日本を元気に」という掛け声はありますが、それを構成する一人ひとりが元気でなかったら、国が元気になるわけがありません。だから、自分の周囲、自分の組織、自分の家族などを元気にするって、どういうことなんだろう」ということを本質的に考える場が日本元気塾なんです。

前野 なるほど、いいですね。元気であるということは何か。幸福学で扱う「幸せ」も恥ずかしくて、なかなか口にできない言葉なので、「元気」とは共通点を感じます。

米倉 「幸せ」「元気」「健康」は本当に大切です。僕は、それに「優しさ」も加えたい。そうしたとても大事なことが二の次になって、「偏差値が高い」「年収が高い」「経済成長率が何%だ」だけでは元気がなくなりますよ。

 そうではなく、「あいつは元気だよね。だから業績がいいんだよ」「あいつ、優しいよね。だから強いんだ」というように言われる社会を僕も前野さんも創らなければならない。僕のようにいい年をした“クソじじい”が「幸せ」「元気」「優しさ」なんて口にするのは小っ恥ずかしいですが、やはり言わなきゃと(笑)。

米倉誠一郎(よねくら・せいいちろう)。法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授、一橋大学イノベーション研究センター特任教授、アカデミーヒルズ日本元気塾塾長。1953年東京都出身。イノベーションを核とした企業の経営戦略と発展プロセス、組織の史的研究を専門とし、日本のイノベーション研究をリード。ニュービジネスとアントレプレナーシップを応援するイノベーション研究の第一人者。「Happy Day TOKYO」「ティーチャーズ・イニシアティブ」「QUEST CUP」などNPO活動にも取り組む。『イノベーターたちの日本史:近代日本の創造的対応』(東洋経済新報社)、『2枚目の名刺 未来を変える働き方」(講談社+α新書)、『オープン・イノベーションのマネジメント』(有斐閣)、『創発的破壊 未来をつくるイノベーション』(ミシマ社)、『脱カリスマ時代のリーダー論』(NTT出版)、『経営革命の構造』(岩波新書)など著書多数。(写真:加藤 康)
米倉誠一郎(よねくら・せいいちろう)。法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授、一橋大学イノベーション研究センター特任教授、アカデミーヒルズ日本元気塾塾長。1953年東京都出身。イノベーションを核とした企業の経営戦略と発展プロセス、組織の史的研究を専門とし、日本のイノベーション研究をリード。ニュービジネスとアントレプレナーシップを応援するイノベーション研究の第一人者。「Happy Day TOKYO」「ティーチャーズ・イニシアティブ」「QUEST CUP」などNPO活動にも取り組む。『イノベーターたちの日本史:近代日本の創造的対応』(東洋経済新報社)、『2枚目の名刺 未来を変える働き方」(講談社+α新書)、『オープン・イノベーションのマネジメント』(有斐閣)、『創発的破壊 未来をつくるイノベーション』(ミシマ社)、『脱カリスマ時代のリーダー論』(NTT出版)、『経営革命の構造』(岩波新書)など著書多数。(写真:加藤 康)

前野 米倉さんは言うだけではなく、実践していますから。

米倉 実践すると同時に、率先しようと思っています。新しいことをやるのは、みんな怖い。じじいになると「お前、やってこい」になってしまいがちです。だから、なるべく頑張って、自ら率先して行動しようと。

前野 最近は、活動の場がアフリカに広がっていますね。南アフリカのプレトリア大学のビジネススクールに設置された日本研究センターの所長を務めたり、ソマリランドで初の大学院を立ち上げたり、旅行会社と組んで南アフリカへのビジネスツアーを開催したり、様々な活動を手がけています。

米倉 ツアーなどでアフリカに一緒に行った人数は、もう100人を超えています。その中には、大いに活躍している人物もいるんです。

 元気塾の卒塾生でアフリカツアーに参加した女性は、廃棄ウェディングドレスを発展途上国に届ける「ウェディング・フォー・オール」というプロジェクトを始めました。彼女はブライダル関連の仕事をしているのですが、日本ではレンタル用のウェディングドレスを3~4回着ると捨ててしまうそうです。もちろん、まだ着られるドレスですよ。その数は年間で数百着にもなるそうです。

 ツアーで訪れた南アフリカのスラム街で、彼女はブライダル雑誌を売っているのを見かけた。荒れたスラム街でもウェディングに憧れを持っている人たちがいると知って、捨てているドレスを世界に届けようと思い立ちました。残念ながらアフリカは日本と体型が合わなくて難しかったので、今は東南アジアやモンゴルなどでプロジェクトに挑戦しています。そういう人が出てくるので、僕はうれしくって。

前野 それは素晴らしいですね。そういうことに挑む人がたくさん出てくるようにするにはどうすればいいのでしょうか。