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大統領、来ざるを得ないと思います

栗原 先祖からの伝承儀式や、自然への感謝、共生、そんな様々な意味が含まれています。そこで、高齢者のみなさんにまずフラの考え方である感謝の気持ちや自然との共生を伝えて再認識してもらうことで心のケアをし、フラをゆっくりでも踊れることによってリハビリにつながれば、心身ともに健康になると思いました。

前野 いいね。

栗原 そして、この「介護フラ」の最終型は、ハワイのワイキキビーチの特設ステージで、米国の大統領にも来てもらい、日本から出掛けた高齢者が勢ぞろいしてみんなで踊るイメージです。おばあちゃんがフラを踊りながら、隣にいる大統領のお尻をバーンと叩いて、「腰が入ってないわよ」というシーンがニューヨーク・タイムスの1面記事で掲載される。写真と一緒に、「タフな日本のおばあちゃん、第2の真珠湾攻撃か!?(笑)」という見出しが踊るんです。

前野 大統領は来てくれるかな。

栗原 来ざるを得ないと思います。フラを新しい「介護フラ」として広め、ノーマライゼーションの先進事例として世界的にお披露目しているわけですから。

栗原志功(くりはら・しこう) 。株式会社あなたの幸せが私の幸せ(以下略) 代表取締役CHO(Chief Happiness Officer)。1971年生まれ、埼玉県熊谷市出身。携帯電話の路上販売から事業をスタートさせ、1998年携帯ショップ運営企業・もしもん株式会社を設立。2014年に現在の社名へ変更。通信のほか、介護、人材育成事業を展開し、100億円を超える企業を一代にして築く。32歳で青山学院大学に入学し7年かけて卒業するも、さらなる幸せ探求のために慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科に入学。現在、博士課程に在籍しながら同校講師も務める(写真:加藤 康)
栗原志功(くりはら・しこう) 。株式会社あなたの幸せが私の幸せ(以下略) 代表取締役CHO(Chief Happiness Officer)。1971年生まれ、埼玉県熊谷市出身。携帯電話の路上販売から事業をスタートさせ、1998年携帯ショップ運営企業・もしもん株式会社を設立。2014年に現在の社名へ変更。通信のほか、介護、人材育成事業を展開し、100億円を超える企業を一代にして築く。32歳で青山学院大学に入学し7年かけて卒業するも、さらなる幸せ探求のために慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科に入学。現在、博士課程に在籍しながら同校講師も務める(写真:加藤 康)
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前野 「介護フラ」はもう始まっているんですか。

栗原 既に僕が運営しているデイサービスでやっています。2017年にカナダで「ポジティブ心理学会」の世界大会がありまして、そこで現在行っている「介護フラ」の効果を発表する予定です。ご高齢のみなさんにも日本から来ていただき、学会で踊りたいと思っています。この発表で世界中の研究者が「介護フラ」に理解を示してくれれば一気に「介護フラ」が世界に広まって、その瞬間にパッと明るくなるイメージが自分の中にあるんです。今、僕の悩みは世界中に「介護フラ」の支部ができるので、そこでいただく事務経費をどう有益に使うかということですね。

編集I 楽しい悩みですね。

栗原 そんなことを考えていると、ハワイで大統領をお招きするイベントなんか当たり前過ぎるんです。「『介護フラ』が日本に広まるなんて当然だ」という発想になります。少し前までは、高齢者は「ハワイはいいよね。でも、本当に私が行くのかね」と話していましたし、社内でも「大統領ですか?」という感じでしたが、何度も話をしているうちに、社員さんは「できそうな気がしてきました」って言い出しました。そうなると、今まで不満があったところが消えていくんです。

 これまでは、例えば「設備が狭い」とか「人が足りない」というようなことを言っていたのに、「こんなちっぽけなところでつまずいている場合じゃない」と。目標は「ハワイで大統領とフラ」ですから、日々の小さな不満や障壁は感じなくなります。これを「妄想マネジメント」と名付けています。

前野 「ハワイで大統領とフラ」で日々の問題が無意識に解決できるなんて、すごいね。

栗原 「介護フラ」で言えば、「ご高齢の方々が希望や目標が持てる」、「車いすの方や小さいお子さんもみんな同じステージに立てる」など、思い描いたシーンに到達することで、いろんな問題が勝手に解決されちゃうんですよ。「介護フラ」の最終形は村が独立することなんです。

前野 どういうこと?

栗原 1つの集落が助け合って生活していけるという意味で、自分たちで農作物を作って食べていけるような、そんな自立です。そういうものが地方にたくさんあったらハッピーなんじゃないかなと僕は思っているんです。ただ、そればかりを言い続けていてもなかなか伝わりにくい。だから分かりやすい形として、それがたまたま僕の場合はフラで、みんなで並んで踊るという姿にしたわけです。

前野 確かに「村の独立」と言われてピンとこなくても、「介護フラをみんなで踊る」なら想像しやすいですよね。