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 5ラウンド方式を編み出したのは、この学校の英語科教師・西村秀之氏である。同氏によると、従来の単元ごとの英語学習方法の場合、各単元で学ぶ文法や単語はわずかだとしても、学習時に「聴く」「読む」「話す」という言語処理を同時にこなさいといけないため、英語という初めて接する言語において、頭の中で処理が追いつかないという。そこで彼は、「聴く」「読む」「書く」「話す」といったタスクを切り出し、生徒を1つのタスク処理に集中させることで、従来の学習方法の難しさから解放したわけである。

意欲の薄い生徒にも効果

 タスクの切り出しで英語の学習効果が格段に向上すると西村氏が確信したのは、南高附属中の前任校で教鞭を取っていたときだった。同氏の前任校は横浜市立富士見中。近くに伊勢佐木町や福富町など繁華街があることもあり、学校としては、落ち着かない、遠慮がちに言っても「難しい」学校だった。私自身はこの学校を視察したことはなかったが、一般論でいえば、校内の学力格差の大きい学校だっただろうと思われる。

 そういう環境の中で、西村氏は生徒に確かな語学力を身につけさせてあげようと、タスク・リピテーションの考え方を取り入れた、5ラウンド方式のひな形を編み出した。この授業方法を取り入れたところ、これまで面白くないと言って授業を聞かなかった、あるいは授業に来なかったような生徒たちが「英語が面白い」と言うようになり、実際に英語の成績がめきめきと伸びていった。富士見中では中学3年生に対して中学1年生の教科書を使って授業したという。

 5ラウンド方式のユニークな点は、英語の授業数は従来と比べて増えないことだ。授業時間数が同じにも関わらず、内容のポートフォリオを変えただけで、学習効果が上がる点が非常に特徴的である。