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他都市では大規模導入も

 5ラウンド方式の噂を聞きつけて、多くの私学関係者や教育委員会関係者の視察が南高附属中に殺到している。中でも動きが早かったのが埼玉県熊谷市だ。5ラウンド方式を徹底的に研究した熊谷市教育委員会は、市内の公立中学校の中から研究指定校を選び、2014年に「ラウンドシステム」として導入した。その結果、研究指定校の外部検定試験のスコアが他の公立中学と比較して実に30ポイント近く伸びた。これを受けて熊谷市教育委員会は、2016年から市内のすべての公立中学校にラウンドシステムを取り入れた。

 私自身は数年前から5ラウンド方式の横浜市内の全中学校への導入を議会で訴えてきたが、残念ながら道半ばで議会を去ることになった。それでも議会での提案が少しずつ実を結んで、2017年度にはリクルート出身の民間人が校長を務める中川西中(横浜市都筑区)が5ラウンド方式の導入に踏み切り、11月には横浜市内で3校目となる横浜吉田中でも導入が決まったという。

 これだけ学習効果が顕著でも、横浜市内のすべての公立中学校への導入が遅々として進まない理由はなぜか。色々理由は考えられるが、その1つは5ラウンド方式が「特殊解」に見えてしまうからだろう。「これまでは、たまたまうまく行ったかもしれないが、日本最大の基礎自治体である横浜市ほどの規模で導入した時に本当に成功する保証はない」というわけだ。

 そこでデータの出番である。英検2級や準2級の合格者数も1つのデータに違いないが、それだけではまだ弱い。議会を説得するには、導入校とそうでない学校の間で、経年で変わるフローのデータをどれだけ蓄積できるかが1つのポイントになりそうだ。

 実は横浜市の教育現場には、ちょっとした逆風が吹いている。上述の中川西中で校長を務めてきた平川理恵氏が広島県にヘッドハントされ、2018年度から同県の教育長に就くことになった。南付属中の前校長は、任期を1年残して退職してしまった。5ラウンド方式を開発した西村氏は、今は現場を離れ教育委員会事務局に在籍しているものの、その部署は他の公立中に5ラウンドを広める業務を担っている訳ではない。

 こうした人事のあやで、盛り上がりつつあった現場の勢いがかき消されてしまうのでは、あまりに惜しい。画期的な教育法の普及を願う一人としても、横浜市や公立学校の関係者の踏ん張りや、市民も含めた議論の高まりに期待したい。