PR

医師にも求められる働き方改革

平野 今日はHoloLensを用意しましたから、ぜひ体験してみてください。

武藤 (ここで用意されたHoloLensを体験)遠隔地にいる患者の3次元映像がリアルタイムで確認できるんですね。これは今利用しているタブレットやスマートフォンとは違い、より直感的にわかります。

 私も実際に在宅医療を体験してみて、雨が降っても雪が降っても訪問をする大変さは身にしみています。オペレーションの最適化の意味も含め、症状が安定している患者などは必ずしも毎回対面ではなく、ビデオなどでコミュニケートしてもいいのではないかと感じています。また、出産後の女性の先生がITを使用することにより医療により貢献しやすい環境が整う側面もあると思うんですね。医師は基本的にものすごく働くのが当たり前ですから。

平野 そういったイメージはあります。昼夜関係なく病院にいるような。

武藤 研修医時代は1週間のうち家に帰るのは2日ぐらいでした。なぜなら家に帰ると寝過ごす可能性が高いため、ソファで寝ていたほうが安心なのです。誰かが起こしてくれるので(笑)。

平野 まるで医療ドラマそのものですね。

武藤 おっしゃる通りです。しかし、いくら医療現場とはいえ現在はそうした働き方を見直す動きが出てきています。昨今言われる「働き方改革」には効率化だけではなく、人がモチベーションを持って働き続けられるいろんな仕組みが必要だと思うのですが、御社ではどのように考えているのでしょうか。

平野 一般的に働き方改革のキーファクターとなるテレワークや在宅勤務は、育児や介護の救済策的なイメージが強いですよね。それはそれでメリットがありますが、我々は個人の持っている能力と、組織の持っているポテンシャルをテクノロジーによってどこまで引き出すことができるかを考えています。

 ですから場所や時間の制約を取り払うため、積極的にテクノロジーを活用するのです。結局はどこにいても、社員がより多くの実のある仕事をこなせるかが重要です。そこでインテリジェントデバイスやコミュニケーションツールを用いて、社内で試行錯誤を繰り返してきました。データを採取し始めたのは2011年ぐらいからですが、一人あたりの生産性が26%アップし、女性の離職率も40%改善、ペーパーレスが加速し、社員の満足度も向上する結果となっています。

武藤 あまりにコミュニケーションが容易にできてどこでも仕事ができるがゆえに、ずっと仕事に没頭する人もいるのでは?

平野 働き方改革では、社員の安心・安全もしくは健康を保障することも1つの大きな側面です。社内のオペレーションを新しい働き方に合わせ、サポートする人事システムが必要になります。それから何より「新たなカルチャーを作る」というビジョンがないと、ご指摘のように抑制が効かなくなる部分が出てきます。そこで個人個人の達成目標を作成し、それを達成できるように頑張りましょうと進めています。

 弊社の場合、「ワークライフバランス」よりむしろ「ワークライフチョイス」の表現が正しいでしょう。働きたい人はもっと働いてもいい、休みを取りたくなったら取ればいいという方針です。いずれにしろ成果もインパクトも求められますから、9時から5時まで働いてはいおしまいというスタイルとは随分異なります。IT企業は伝統より変化を重んじるので“どれだけ変化できたか”でリスペクトされます。変化とはつまりイノベーションを起こすことですが、そのためにはたゆまぬ努力とチャレンジが必要ですから、代わりに社員にはセーフティネットを設けてあげたいのです。