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AIは人間を補完し、拡張させるもの

武藤 では、医療分野の中でどのようなイノベーションを目指しているのでしょうか。

平野 Microsoftが起業して41年が経ち、今は法人ビジネスが全体の75%を占めています。今年から組織を6つの産業別に区切り、その1つを製薬も含めたヘルスケア&ライフサイエンス分野としました。すでに創薬向けの分析やアルゴリズム、シミュレーションなどのコンピューティングパワー提供、国内では3省4ガイドラインに対応したクラウドサービス導入による業務改善などを手がけています。

武藤 今後は医療にもAIや機械学習が本格的に採用されていくはずです。Microsoft が考えるAIの未来とはどんなものですか。

平野 AIは人間を置き換えるものではなく、人間を補完し、潜在能力を引き出すものだと考えています。昨日、たまたまディープラーニングを手がけるパートナー企業と話をしてきたんです。その企業はディープラーニングを用いて乳がんの早期発見精度を99%以上まで高める技術を開発しました。これはコンピューティングパワーを医療に生かした好例です。

 もう1つ、先ほど触れた遠隔診療や健康予防でもAIが入ってくるはずです。例えば高齢者が症状をうまく伝えられないとき、過去の学習結果から判断して回答をアシストしたり、気づきを与えたりしてくれる。そうすることで患者はストレスフリーになり、医師の負担も軽減されていくでしょう。これもまた、AIの持つ力だと感じています。AIは人間の能力をエンハンス(拡張)してくれるのです。

武藤 テクノロジーの発達で、医師と患者の関係もこれから変わっていくことでしょう。現代の医師は求められる知識が膨大になりすぎて、すべて把握することは不可能です。そして患者のほうが、インターネットで調べて我々よりも病状を知っていたりする。

 だからこれからの医師には「変化し続ける能力」が求められると考えています。それゆえ我々は変化を是とするIT業界から、技術だけではなく考え方も含めてたくさん学ぶところがあるのです。

平野 働き方改革にしろ医療にしろ、結局最後は人間です。デジタルはツールに過ぎず、人と人との会話があって初めてすべてが成り立ちます。今までの我々自身の経験からそのことを痛感していますし、医療ではなおさら、人と人とのつながりは外してはならない要素だと思います。

武藤 まさにそうですね。今日はありがとうございました。