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田中 栄=アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
田中 栄=アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
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 今、「人工知能」が大きな注目を集めています。2016年3月には米Google社が開発した 囲碁用人工知能「Alpha Go」が、世界最強との呼び声が高いプロ棋士イ・セドル氏に圧勝。世界的にも大きな注目を集めました。

 さらに驚くのは、このAlpha Goのプログラムには囲碁のルールさえ組み込まれていないということです。最初は過去の対戦データを元に、「囲碁とはどういうものか?」「どういう状態が勝利なのか?」を“教師の指導付き”で学習。その後はAlpha Go同士で3000万回もの対局を重ね、腕を磨いたそうです。

 3000万回というのは、仮にプロ棋士が1日10回の対局を365日続けたとしても、8200年以上かかる計算になります。つまりコンピューターは、人間の一生分をはるかに上回る経験や練習を積めるようになったということ。そしてプロ棋士を上回る実力を身に付けたということです。

 人工知能の進化とともに、「人間は人工知能に仕事を奪われるのでは…?」と心配する声も聞こえてきます。このような心配を「間違い」とまでは言いませんが、私はナンセンスだと考えています。

 それはなぜか。仕事には人間にしかできないことがたくさんあるからです。コンピューターは一般には“万能”のように思われがちですが、限界値は意外と低いのです。

 私は今の仕事を始める前に、マイクロソフトで10年間働いていました。ちょうど「Windows」が出始めた頃であり、パーソナルコンピューター(パソコン)が普及するのを目の当たりにしてきました。その当時、多くの人が「コンピューターに仕事が奪われるのでは?」と真剣に心配していました。そろばんで計算していたのが電卓になり、さらに「Excel」などの表計算ソフトが登場しました。その度に、「経理の仕事がなくなる」という声が上がりました。一部にはパソコン導入を制限しようという動きまであったほどです。

 では、実際はどうだったでしょうか? そろばんを使う仕事はほとんどなくなりましたが、「経理」という仕事は今も変わらずにあります。変わったのは手段や道具であり、仕事の中味です。