PR

4Mのばらつきを抑え込むための取り組み

 では、X社は何が悪かったのだろうか。実は、品質を確保するための仕組みではなく、その中身に問題があった。品質を確保するための重要なツールであるQC工程図や作業標準書類などは存在しており、実際に運用もされていた。しかし、それらの中身は品質を確保するために有効な内容ではなかったのだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 冒頭に述べた通り、品質を確保するためには生産における4Mのばらつきをいかにコントロールして抑え込むかがポイントだ。それを実現するために有効なツールが、図に示したQC工程図や作業標準書、そして教育・訓練なのである(注:この考え方は、量産品でも、少量生産品でも、そして一品一様の個別製品でも同様だ)。

 QC工程図は、各工程で品質がばらつかないように、何に注意をすべきなのか、何が作業上のポイントなのかを明確にする。その上で、必要な管理項目を、どのようにして管理するのか具体的な内容と共に明文化したものだ。

 X社では、QC工程図を生産の開始前に作成しており、正式文書としてリリースもされていた。仕組みとしては、ルール通りに運用されていたのだ。しかし、QC工程図に書かれた中身を見てみると、管理項目の多くが空欄になっており、生産現場で不文律的に取り組まれているような注意点すらなかった。つまり、QC工程図は作成されていたものの、そこに品質を確保するためにどのようにしてばらつきを抑えるかといった管理項目の洗い出しが十分には行われていなかったのである。

 QC工程図においてさえそうした議論が生産前にされていないので、当然ながら作業標準にも品質を確保するために具体的にどのような作業を、どのような手順で行うべきなのか、といった重要なポイントは記されていなかった。当然ながら、中途半端な作業標準書をベースに行われていた教育・訓練の内容も推して知るべしと言えよう。

 品質を確保するために有効な仕組みである品質マネジメントシステムを導入しているにもかかわらず、その本来の趣旨を理解せずに形式的な運用になってしまうと、品質は確保できないということだ。