スポーツ量販店大手のゼビオグループは、アリーナの建設・運営の多拠点化を本格化する。2012年に竣工し運営している「ゼビオアリーナ仙台」(宮城県仙台市)に続き、2017年12月には青森県八戸市で新アリーナの建設計画を打ち出した。八戸のアリーナは2018年冬の着工、2020年春のオープンを目指す。

 「スポーツコングロマリット」を掲げるゼビオグループは、3人制バスケットボールのプロリーグ「3×3 PREMIER EXE」やプロアイスホッケーチーム「東北フリーブレイズ」の運営を手がけるなどスポーツビジネスの多面展開にも積極的だ。アリーナビジネスは、それらの取り組みの柱の1つである。

 ゼビオグループが考える新しいスポーツビジネスの姿を、キーパーソンに聞く連載の第1回。今回は、スポーツのリーグやチーム、アリーナの運営を担当するクロススポーツマーケティングの中村考昭社長に、スポーツ量販店がアリーナビジネスに乗り出す意義などを聞いた。
(聞き手は、高橋 史忠=日経BP総研 未来ラボ、
石井 宏司=スポーツマーケティングラボラトリー)

小売店舗とスポーツリーグやアリーナ運営は両輪

―― 中村さんが率いるクロススポーツマーケティング(XSM)は、本当に様々なことを手がけています。まず、ゼビオグループの中でどのような位置付けの会社なのかを教えてください。

中村 考昭(なかむら・たかあき)
中村 考昭(なかむら・たかあき)
クロススポーツマーケティング 代表取締役社長。1972年大阪生まれ。一橋大学法学部卒業。リクルート、A.T. カーニー、スポーツマーケティング会社を経て、 2010年5月ゼビオ入社、2011年4月より現職。Jリーグ東京ヴェルディ取締役、アジアリーグアイスホッケー東北フリーブレイズ代表取締役オーナー代行、FIBA/JBA公認3人制プロバスケットボールリーグ「3x3 PREMIER.EXE」コミッショナーを兼務

中村 ゼビオグループには、上場企業のゼビオホールディングスの傘下に、大型スポーツ用品専門店の「スーパースポーツゼビオ」を展開するゼビオ、ゴルフ用品専門店の「ゴルフパートナー」を運営するゴルフパートナーなど6社の中核企業があります。そのうちの1社がXSMで、大きく3つの役割を担っています。

 まず、小売店を展開するグループ企業の宣伝や販促などを担当するマーケティング部門としての役割です。次に、インターネットやクレジットカード関連などの様々な子会社を管轄する役割。第3に、スポーツの大会やイベント、スポーツチームの経営など、世の中で言われる狭義のスポーツビジネスを展開しています。

―― ゼビオグループは、中期経営計画で「スポーツコングロマリット」を掲げています。その中で、スポーツのリーグやチーム、アリーナなどの運営は、グループ内の他の事業と、どのように関係しているのでしょうか。

中村 店舗を訪れるお客さんは、「スポーツをしよう」「応援しよう」「素敵なモノに囲まれたい」といった欲求、何かのモチベーションを持っていて、その結果としてモノを買う行為に至ります。だから、小売業にとっては、市場を刺激し、活性化して、市場自体を大きく広げていくことが大切です。

 その意味で、スポーツのチームやリーグ、アリーナなどの運営を通じて市場を活性化する取り組みは、小売店舗と両輪になって自分たちが目指す社会を広げることにつながると考えています。単に売ることだけを手がけていても、刈り取りばかりになってしまいますから。

―― スポーツをする人が増えれば、スポーツウエアやスポーツ用品の購入が最終的に増える。その方向に向かう装置として、スポーツのリーグやアリーナの運営などを位置付けているということですね。

中村 「スポーツをする」にとどまらず、スポーツを見ること、応援すること含めて、スポーツを楽しんだり、関わったりする人を増やしていきたい。グループでは「こころを動かすスポーツ。」を掲げて、スポーツが持っている普遍的、社会的な価値を広く伝えたいと考えて事業に取り組んでいます。それに向けたアプローチの1つがスポーツチームやアリーナを運営することです。