スポーツ量販店大手のゼビオグループが運営する3人制バスケットボール(3×3)のプロリーグ「3×3.EXE PREMIER(スリー・バイ・スリー・ドット・エグゼ・プレミア)」は、2018年シーズンに参加チームを2倍となる36チームに増やす。今後も参加チーム数を増やしていく計画で、2020年までに100チームを目指している。

 チーム数の拡大戦略を採る背景には、世界的なシェアリング経済の広がりがあるという。3×3.EXE PREMIERでは、選手は兼業OK、駐車場やイベントスペースを試合会場として活用し、年間に数百万円の運営費で複数の人々が協力してチームを保有できる。つまり、「働き方」「会場」「チームのオーナーシップ」のシェアを前提にリーグが運営されている。

 ゼビオグループでスポーツのリーグやチーム、アリーナの運営を担当するクロススポーツマーケティングの中村考昭社長が考える3×3プロリーグの将来像からは、従来のスポーツビジネスとは異なる逆転の発想が見えてくる。

(聞き手は、高橋 史忠=日経BP総研 未来ラボ、
石井 宏司=スポーツマーケティングラボラトリー)

底辺から広げて、頂点を高めていく

―― 3×3.EXE PREMIERのチーム数は、2018年シーズンから36チームと前のシーズンの2倍に増えます。これからチーム数が増えていっても、現在のリーグ運営のモデルは変わらないんですか。

中村 考昭(なかむら・たかあき)
中村 考昭(なかむら・たかあき)
クロススポーツマーケティング 代表取締役社長。1972年大阪生まれ。一橋大学法学部卒業。リクルート、A.T. カーニー、スポーツマーケティング会社を経て、 2010年5月ゼビオ入社、2011年4月より現職。Jリーグ東京ヴェルディ取締役、アジアリーグアイスホッケー東北フリーブレイズ代表取締役オーナー代行、FIBA/JBA公認3人制プロバスケットボールリーグ「3x3 PREMIER.EXE」コミッショナーを兼務

中村 変わりません。むしろチーム数の増加に伴って、これまでよりもチームを保有しやすい環境が生まれると考えています。例えば、チームの所在地が増えれば、試合するチーム同士の距離が近くなります。試合のための移動にかかる交通費を低減できるわけです。遠征コストはプロスポーツの運営で大きな割合を占めるので、これは大きい。同様に試合会場の設営コストなども下がると思います。

 それ故に3×3.EXE PREMIERは、1部、2部、3部というような階層構造のディビジョン制ではなく、カンファレンス制を採用しています。チーム数が増えたら、カンファレンスを構成する地域の範囲を小さくできるからです。カンファレンス数を増やすことで、チームやリーグを運営するコスト効率が向上していく設計になっています。

 今シーズンから始める女子リーグも同じ仕組みで運営していきます。スポーツのリーグでは男女でリーグの名称を変えるケースが多いですけれども、3×3.EXE PREMIERでは女子リーグも名称は同じです。同じリーグの中に男子の部と女子の部があるという位置付けです。チーム数や報酬の水準、試合の会場など男女で細かいレギュレーションの違いはありますが、ワンリーグです。

―― 将来的には、どれくらいのチーム数を目指しているのですか。

中村 まずは、2020年くらいまでに100チームと考えています。これは夢を語っているわけではなく、現実的な数字です。1000チームになると必要な選手は最低6000人で、1万チームでも6万人。リーグでは国籍制限をしていませんから、世界の競技人口を考えると、レベルの高い選手はそれくらい普通にいると思います。

 本拠地も日本に限定していません。すでに2017年シーズンから韓国のチームが参戦しています。沖縄や北海道から遠征してくることを考えると、韓国からの方がむしろ移動にかかる航空運賃などが安価になるケースは少なくないかもしれません。

2017年9月に六本木ヒルズアリーナ(東京・港)で開催した同年シーズンのプレーオフ「TOKYO THE FINAL」の様子(写真:3×3.EXE PREMIER)
2017年9月に六本木ヒルズアリーナ(東京・港)で開催した同年シーズンのプレーオフ「TOKYO THE FINAL」の様子(写真:3×3.EXE PREMIER)

―― 世界戦略ですね。いずれは、米国や欧州のチームが参戦するかもしれない。グローバル化に向けた準備は。

中村 すでに選手は来ていますし、チームの参戦も可能性はあると思います。もともと一つのリーグをグローバルに展開することを前提に設計してはいますが、今後は国によるプレー環境の違いや移籍の問題などを考慮に入れながら、リーグ運営の仕組みをさらに整備していくことになります。

 「限られたプレーヤーの実力をさらに研ぎ澄まして、リーグの競技力の頂点を高めていくこと」と、「土台となる選手層の底辺を拡大しながら、リーグを面として広げていくこと」のバランスをどう考えていくか。これも、議論のあるところだと思います。

 現状、多くのスポーツリーグは「頂点を高くすれば、土台となる底辺は自然に広がる」という考え方が主流です。3×3.EXE PREMIERは逆で、「土台を広げることで、その上に立ち上がる頂点は高くなる」という考え方で運営しています。多くの一般の人たちがリーグに関わってほしいと考えているからです。