目指すはオンリーワンのスポーツコングロマリット

―― 店舗で接客する従業員が、スポーツをする人々に寄り添って最適な商品を提案できるようにする必要があるわけですね。

加藤 やはり、ある領域に精通している人が介在して、お客様に合った商品を提案できることは大切な要素です。元アスリートの従業員が多くいますので、適切なアドバイスによって、来店したアスリートが何らかの形でパフォーマンスを高められるようにする。そこに貢献することが我々の役割だと考えています。

 今振り返ると、この3年間で客層拡大のための売り場改革、人による差異化のための組織や人材改革を進めてきた結果が、たまたまグループ全体で合算したらスポーツ専門店の売り上げで国内1位につながったということです。これはあくまで通過点で、目指すところはオンリーワンのスポーツコングロマリットです。国内にも、海外にも同じような企業はありませんから。

―― 現役のアスリートや、元アスリートの積極的な採用にも力を入れています。

加藤 アスリート社員は代表的な例で、7000人のゼビオ従業員のうち50人程度です。高校でインターハイ、大学でインカレといった高いレベルで競技経験がある元アスリートのスポーツ経験者まで広げると、400人程度に増えます。ただ、それでも従業員の全体から見ると5%強です。だから、他の社員の専門性を磨く取り組みも、この1年ほどで強化しています。

 アスリート社員については、2020年までに100人程度にしたい。そこで、水泳の北島康介さんにアドバイザーをお願いしました。

 このほかにも、「アスリートのアスリートによるアスリートのための就職会議」というイベントを開催しました。北島さんを含めて数人の講師に登壇していただき、就職活動をしている体育会の大学生に集まってもらって、いろいろな話をしました。そうした取り組みを通じて、働く先としてのゼビオの認知度も高まってきたように感じています。

 社会人になってもスポーツを続ける。その勤め先としてのゼビオ。これがアスリート社員です。ほかにも、中学、高校、大学とスポーツに明け暮れて、社会人になったら区切りをつけて仕事を頑張りますという人生もあっていいと思うんですね。大学までガチで体育会でやっていましたという従業員が増えていくといい。スポーツにフォーカスしている企業ですから、スポーツの価値を一番分かっている集団でありたいと考えています。若い頃にスポーツに真剣に向き合っていた経験は、仕事で大きな差異化につながります。今年に入ってから、そういう学生からの応募が増えているのはいいことだと思います。

「アスリートのアスリートによるアスリートのための就職会議」の様子(写真:ゼビオ)
「アスリートのアスリートによるアスリートのための就職会議」の様子(写真:ゼビオ)

―― 就職会議のイベントは、ゼビオグループの採用だけを目的にしたものではなかったのですよね。

加藤 そうです。スポーツを続ける、真剣に取り組むことは素晴らしいという価値観を世の中に伝えることが目的です。その目的に賛同する他の企業の方々にも参加していただきました。

 大学の4年間、スポーツに打ち込んだ人はすごい信念を持っているけれども、半面で犠牲にしていることもあります。勉強の時間を取れないかもしれないし、遊ぶ時間がなかったかもしれない。相当な時間をかけてスポーツに打ち込んできた人が、うまくスイッチを入れ替えることで、いよいよ社会に出る。そのときにスポーツでの経験が生きるということを伝えたいと思いました。

 スポーツに打ち込むライフスタイルや価値観はとても素晴らしいということに、改めて気づいてほしい。体育会の学生は、学生全体で考えるとマイノリティーです。でも、そこにプライドを持ってほしいし、応援したい。その結果として、ゼビオは体育会で取り組んできたことを高く評価して仲間になってほしいと思っているので、よかったら採用で手を挙げてくださいというスタンスです。

 私自身も、中学、高校、大学、社会人と31歳まで体育会でスポーツをしました。振り返るとすごく良かったと思っているんですよね。そこでの経験がなければ今の自分はないし、やっていなかったら今よりもハッピーな人生になっているとは思えない。なので、真剣にやってほしいし、社会人になっても続けてほしいと思っています。