オリンピック・パラリンピックの熱に包まれるリオデジャネイロ。4年後には、その熱気が日本にやってくる。その前後に開催される大型国際大会も含めた日本スポーツの新しい姿に向けたキックオフイベントとすべく、大規模な国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」(主催:文部科学省、スポーツ庁、文化庁)が2016年10月に東京と京都で開催される。世界経済フォーラムと連携して開催する会議の開催に向けて、文部科学省参与として奮闘する藤沢久美氏(シンクタンク・ソフィアバンク代表)がスポーツ・文化・ワールド・フォーラム準備室の取り組みを紹介する連載の第2回。

世界のトップリーダーが集まるダボス会議

 「ダボス会議」という言葉を、一度は耳にされたことがあると思います。世界各地から国家元首、大臣、グローバル企業経営者のほか、学者、若手リーダー、NGOのリーダーなど、様々な分野のリーダーたちが、スイスのダボスに集まって、世界の課題やその解決策などを議論する会議です。

 ダボス会議の様子は、過去にさかのぼって、その主催者である世界経済フォーラムのウェブサイトで動画や文字などで知ることができますが、ダボス会議の本当の魅力は、やはりその会議の「場」に身を置かなければ分かりません。

議論だけではなく、アクションへつながる会議

2015年1月に文科省と世界経済フォーラムがダボス会議で覚書を調印した際の様子(写真:文部科学省大臣官房スポーツ・文化・ワールド・フォーラム 準備室)
2015年1月に文科省と世界経済フォーラムがダボス会議で覚書を調印した際の様子(写真:文部科学省大臣官房スポーツ・文化・ワールド・フォーラム 準備室)
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 その魅力とは、様々な分野の人たちとのコミュニケーションです。ダボス会議で議論されるテーマは、経済や政治だけではありません。世界が直面している様々な課題、これから直面するかもしれない未来の課題など、幅広いテーマで議論が行われます。

 しかも、ただ議論をして終わりだけではなく、その先のアクションンへとつながるような仕掛けも用意されています。つまり、ダボス会議は一種、未来を創造する仲間を見つける場でもあるのです。

 ですから、ダボス会議では、登壇者と聴衆という区分けはふさわしくありません。会議に参加するすべての人が登壇者であり、聴衆であり、議論を深めるための知恵や知識の提供者でもあるのです。

 また、ダボス会議では、事前に落としどころを決めた発言原稿を読むだけの予定調和の議論はありません。異なる価値観やバックグラウンドを持つ人々が、知恵を交わしながら、解決策を見出していきますから、真っ向から意見が対立することもあります。

 しかし、世界の未来をより良いものにするという目的を共有し、多様な意見を受け止め咀嚼しながら、新たな次元へと議論を高め、これまでにも様々な世界の新たな秩序や取り組みを生み出してきました。